東海地方会泌尿器腫瘍登録による4年間の膀胱腫瘍統計

概要

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日本泌尿器科学会東海地方会では教育委員会の事業の一環として,1980年から腎盂尿管膀胱腫瘍の登録を開始した.1983年までの4年間に集積された膀胱腫瘍症例は1,474例(男1,185例,女289例,男女比4:1)であるが,今回治療内容が明らかな1,448例について,臨床所見と予後を検討した.治療により腫瘍が根治されたものは1,215例(84%)で,そのうち膀胱保存療法は895例(62%),膀胱全摘術は320例(22%)に施行されている.治療により根治されなかった症例は156例(11%),初診時進行癌と診断された症例は77例(5%)であった.膀胱腫瘍の治療は手術法が最も多く1,299例(90%),化学療法は590例(41%),放射線療法は101例(7%),温熱療法は24例(2%)に施行された.手術によらず化学療法や放射線療法で腫瘍が消失した症例が26例(3%)あった.膀胱腫瘍の組織型は移行上皮癌が最も多く1233例(93%),扁平上皮癌は32例(2.4%),腺癌は19例(1.4%)であり,複数の組織型が混在しているものは25例(1.7%)あった.組織型不明は124例(9%)で,非根治群や進行癌群に多い.移行上皮癌の異型度はG0 2%,G1 27%,G2 40%,G3 28%,Gx 3%である.非根治群と進行癌群の異型度はほとんどG2とG3である.根治療法群の深達度はT1までの低深達度腫瘍が73%であり,(膀胱保存療法群では87%,全摘群では43%),非根治群では33%となっている.膀胱保存療法で根治したと思われる症例で予後が判明している785例のうち171例(22%)の症例に腫瘍が再発した.再発した症例のうち144例は保存療法で治療されているが,20例が膀胱全摘術を受け,7例は再発時に進行癌であった.初回治療時に膀胱全摘術を受けた予後の明らかな295例のうち56例(22%)に局所または遠隔臓器に腫瘍の再発がみられた.膀胱腫瘍の全体の3年累積生存率は73%であった.各群の3年累積生存率は膀胱保存療法群90%,膀胱全摘群67%,非根治群30%,進行癌群3%であった.
社団法人日本泌尿器科学会の論文

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