腎盂尿管腫瘍の治療成績 : 東海地方会泌尿器腫瘍登録384例における検討

概要

論文の詳細を見る
1980年から1986年までの7年間に404例の腎孟尿管腫瘍が日本泌尿器科学会東海腫瘍登録委員会に登録された. この中で経過の明らかであった384例について, その治療成績について報告した. 男性は299例, 女性は85例であり, 腎孟腫瘍は210例, 尿管腫瘍は174例であった. 根治療法が行われたのは319例, 83.1%であり, 非根治群は20例, 5.2%, 進行癌群は45例, 11.7%であった. 腎孟尿管腫瘍の組織型は, 移行上皮癌が341例 (88.8%) であり, その異型度は, G0が0.3%, G1が12.9%, G2が49.3%, GXが5.2%であった. 腎孟尿管腫瘍の5年相対生存率は49.5%であり, 移行上皮癌の異型度が高くなるに従い, 生存率は低下した. 深達度は, T1が97例 (33.6%), T2が48例 (12.5%), T3が56例 (14.6%), T4が51例 (13.3%), Tisが1例, TXが95例であり, 深達度が高くなるに従い, 生存率は低下した. 腎盂尿管腫瘍全体の生存例は177例であり, 死亡例の内, 癌死が122例, 85.3%を占めた. 以上から, 腎盂尿管腫瘍の治療成績を向上させるためには, 早期発見, 早期の根治手術が重要と考えられた.
社団法人日本泌尿器科学会の論文
1990-01-20