前立腺癌病期Bにおける放射線治療の成績

概要

論文の詳細を見る
1965年1月より1989年末までに原発巣に対し放射線治療を行った病期B前立腺癌35例(照射単独群22例,ホルモン併用群13例)の成績を検討した.照射方法は主に超高圧X線治療装置による原発巣への体外照射で総線量はTDFで113,127である.原発巣の改善率は単独,併用それぞれ95%,100%,萎縮率は62%,92%であった.照射単独の場合改善のみで萎縮に至らない症例があるが,それらからの再燃はなかった.5年実測非再燃率は単独,併用それぞれ85%,100%で,再燃は単独4例(うち2例は以前に行った術中照射例),併用1例にみられた.体外照射単独の再燃2例は骨盤リンパ節転移で原発巣は萎縮していた.追加治療の後,1例は不明死,1例は癌なし生存中である.5年,10年実測生存率は病期B全体で80%,62%,単独で90%,71%,併用で63%,47%であった.副作用は一過性で全例予定線量を完遂し,晩期合併症もなかった.われわれの病期B前立腺癌に対する放射線単独療法の成績は根治的前立腺摘除術と同等で,放射線単独で十分根治できることが証明された.骨盤リンパ節に関しては無治療で経過を観察し,転移出現後治療を開始する.
社団法人日本泌尿器科学会の論文
1992-09-20