膀胱腫瘍の臨床統計的観察 : 第2報初診時年齢と予後

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1960年から1982年までの約22年間における膀胱腫瘍1,120例に対して,初診時年齢と生存率及び膀胱腫瘍の臨床病理所見の比較検討を行った.1,120例の年齢は18歳から89歳まで分布し,60歳台が363例(32.4%)と最も多く,平均年齢は63歳であった.年齢と5年及び10年実測生存率は80歳以上を除けば高齢者ほど不良であった.60歳を境に若年者群と高齢者群の二群に分けると,5年実測生存率は前者で73.6%,後者で53.3%となり,両群間に推計学的有意差が認められた(p<0.001).加齢と共に生存率が低下するのは当然であるが,加齢と共にhigh gradeおよびhigh stage腫瘍の比率が高くなっていることもその一因と思われた.年齢と初回治療法では膀胱保存手術の頻度は各年代とも約70%であまり差が認められなかったが,膀胱全摘術は50歳台が最も多く,若年者と高齢者は共に少なかった.放射線治療,注入,温水療法などのその他の治療は加齢と共に増加した.初診時年齢の年次別推移をみると,時代と共に70歳以上の高齢者の増加がみられるが,1976年以降にその傾向が顕著であった.死亡例は411例で,死因では癌死が最も多く,他因死が次いで多かった.癌死の比率は若年者に高く加齢と共に減少したが,逆に,他因死は高齢者になるほど増加した.今後,平均寿命の延長と共に悪性度の高い高齢者膀胱癌が増加すると思われるので,その早期発見の重要性が高まるであろう.
社団法人日本泌尿器科学会の論文

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