アメリカ教育行政学研究(第I報) : NSSE第45年報の教育行政概念の批判的検討
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
本紀要に10年間にわたって発表した「アメリカ教育行政学研究序説」(第Ⅰ報~第10報)では,18世紀中期から20世紀中期,正確には1940年頃までの約1世紀間のアメリカ教育行政学の歴史的変遷を分析してきた。1940年代前期のアメリカ教育行政学の検討までに限定したのは,同研究が教育基本法第10条の教育行政規定の思想を明らかにすることを目的としていたからである。これらの研究成果は,拙書『アメリカ教育行政学研究序説』1)として出版されているので,是非とも御一読願いたい。さて,そこで得た私の結論は,従来からの文部省官僚たちの教育行政理解とは勿論のこと,恩師宗像誠也氏を中心とする教育行政理解ともかなり異なるものであったといわなければならない。私の見解によれば,1940年代までのアメリカ教育行政学は,批判的に学ぶべきものではあっても,両手をあげて賛美するほど「民主的」なものではなく,むしろ止楊克服していくべきものに過ぎない,というものであった。私から見れば,とかく外国,とりわけアメリカやイギリス等の先進諸国を美化し,それらの国の著書を賛美し,金科玉条のごとく引用したがる日本の一部の教育学者,とりわけ教育行政学者は,それらの国の風土と文化について深く理解せずに,教育現象だけを取り入れる誤りを犯しているとしか思えない。もしそうでないとすれば,彼らの教育哲学が貧困であることを示しているのであろう。昨今の教育(行政)学研究の停滞の原因は,この辺にあるのかも知れない。2)さて,これからの「アメリカ教育行政学研究」は,上記の「序説」に続くもので,1945年以降のアメリカ教育行政学の変遷を検討することを課題とする。これらの一連の研究の課題は,先の研究と同じく,言葉の正しい意味における「国民のための教育行政学」の構築に向けての基礎作業である。どこまで目標が達成できるかわからないが,ともかく一歩一歩,歴史変遷的に追求していくことにしたい。The Forty-Fifth Yearbook of the National Society for the Study of Education(NSSE)envolved two important articles concerning the educational administration in post-war United States.one wa Grayson N.Kefauver's ”Reorientation of Educational Administration”,and another wa Alonzo G.Grace's ”The State and the Educational System”.In this paper,I tryed to analyze those two articles critically at first.I pointed close relation between the Article X of Fundamental Law of Education in Japan and those articles.
- 大阪教育大学の論文
著者
関連論文
- 教育評価を考える : 通知票・指導要録・内申書はどうあればよいか
- 内申書開示請求と「子どもの権利条約」
- 「日暮硯」に学ぶ学校経営学 : 日本的学校経営の真髄(第II報)
- 教育基本法と教育行政の任務 : 教育基本法第10条の立法者意思と教育思想の視点からの解釈
- アメリカ教育行政学研究 : ティーチャールズ・カレッジにおけるストレイヤーとニューロン
- 学級崩壊の考察 : 要因の分析と解決の視点
- いじめの風土的考察 : 稲作農耕民族の人間観と教育観の視点から
- 附属学校の存在意義と現代的課題 : 「国立の教員養成大学・学部の附属学校のあり方(報告)」の分析を通して
- 「子どもの権利条約」と情報公開・展示問題
- 国旗・国歌の取り扱いについての教育法制論 : 生徒への説明メモ
- 対独アメリカ教育使節団報告書(1)
- 塩尻公明の教育思想研究(第II報) : 塩尻公明の教師論・教育学部論
- 塩尻公明の教育思想研究(第I報) : 塩尻公明の教育論に注目する理由
- 大阪市教委の採用前研修の本質と問題点
- アメリカ教育行政学研究(第I報) : NSSE第45年報の教育行政概念の批判的検討
- 教育基本法第10条の教育思想的解釈 : その立法意思・アメリカ教育行跡思想からの考察
- 塩尻公明の教育思想研究 : 塩尻公明の歴史観と教育論(II)
- 塩尻公明の教育思想研究 : 塩尻公明の歴史観と教育論(I)
- アメリカ教育行政学研究序説(第X報) : A.B.メールマンの教育行政学の特徴
- アメリカ教育行政学研究序説(第IX報) : 「科学的管理法」とJ.F.ボビットの教育行政学
- アメリカ教育行政学研究序説(第VIII) : 「科学的管理法」とF.E.スポウルディングの教育行政学
- アメリカ教育行政学研究序説(第VII報) : 「科学的管理法」とアメリカ教育行政学(その2)
- アメリカ教育行政学研究序説(第VI報) : 「科学的管理法」とアメリカ教育行政学
- アメリカ教育行政学研究序説 第5報:教育行政コース形成期の教育行政研究
- アメリカ教育行政学研究序説(第III報) : J・H・ニューロンの教育の自由論
- アメリカ教育行政学研究序説(第II報) : 1920〜30年代の教育行政学の特徴と問題点