アメリカ教育行政学研究序説(第IX報) : 「科学的管理法」とJ.F.ボビットの教育行政学
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概要
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20世紀の初期から中期にかけて,F.E.スポウルディングと並んで,アメリカ教育行政学の発展に貴重な足跡を残した人物が,John Franklin Bobbitt(1876~1956)であった。彼は,シカゴ大学の教育行政学の教授として多くの人材を育てるとともに,精力的な著作活動,調査研究活動を通して,アメリカ教育界に多大の貢献をした。彼は教育行政学者ではあったが,同時にカリキュラム研究の第一人者でもあり,カリキュラム研究の分野で画期的な業績を残している。それゆえに,日本のカリキュラム研究者は,ボビットをカリキュラム研究者であると位置づけてしまっているのではないかとさえ思われる。もちろん,それは間違いではないのであるが,彼自身は教育行政学コースの教授であった。むしろ彼は,カリキュラムに深い造詣をもった教育行政学者としてアメリカ教育界に君臨した,と言った方が正しいであろう。本研究のテーマとの関連でいえば,彼は,その研究者としての出発期に,教育行政学に関する記念碑的な論文を発表し,「科学的管理法」を教育行政の世界に導入しようと試みた。その試みの結果についての評価は後に下すとして,「科学的管理法」とアメリカ教育行政学との関係を究明していく作業において,彼の教育行政理論の検討は避けて通ることができないのである。そこで本稿では,J.F.ボビットの教育行政理論に焦点を当て,彼の理論を分析し,彼がアメリカ教育行政学に分野において果たした役割と問題点を明らかにしてみることにしたい。This article also dealt with the relation of scientific management to educational administration in the United States.J.F.Bobbitt was a professor of educational administration of University of Chicago and one of the leaders who had introduced the Taylor' sciencetfic management to educational administration.In this article,the following two his articles were analized and examined.(1)“The Elimination of the waste in education.”(2)“The Supervision of City School:Some General Principles of Management Applied to the problems of City-School Systems.”Bobbitt,in“The Elimination of the Waste in Education”(1912),discussed on the Gary School,and in“The Supervision of City School;Some General Principles of Management applied to the problems of City-school systems”(1913),discussed how to apply 12 Principles of Scientific Management to the Supervision of City School.
- 大阪教育大学の論文
- 1985-08-31
著者
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