「指導のあり方」の発達人間学的考察 その1
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概要
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発達人間学は,「発達の力」や「発達の方向」に対する信頼をもって人間を究める学問である。伝統をもっている教育人間学は,「教育」に焦点づけて人間を究める学問である。哲学的人間学は,「哲学」的関心に焦点づけて人間を究める学問である。これらとの比較において,新しい発達人間学は,「発達」に焦点づけて人間を究める学問である。この場合,「発達」とは人間の根源的な力と根源的な方向を示唆しているものである,と考える。この力とこの方向は,楽観的にとらえることになるが,大筋でまた通例は,放任しておいても十分その力を発揮し方向を見誤まらないくらいの健全さをもっているものである,と考える。この健全な力と方向を本来的にもっているものとして人間を理解する上に,発達人間学は成立する。発達人間学は,人間の自然な力の正当さへの信頼に基づいている。ここでは教育学は,意図的・人為的手のさしのべを自戒しながら,一歩さがって発達の支えをする道をさぐる。医学は,例外的にその力を衰弱させたものに,大道へ復帰させるための手だてを考える。逸脱を常道へ回帰させるために手をつくす。心理学は即発達学ではないが,この発達の力と方向を見きわめるのに有力な手段となる。しかし、決して一歩先へ出ることはならない。放任しておいてもおおむね健全に開花する人間の発達の力と方向に大きな逸脱がないかどうかを見守るのが心理学である。いずれの学問も,発達の力と方向の健全さに畏敬の念をもちながら,一歩さがったところでの手のさしのべ方を考えることになる。このような特徴をもつ発達人間学への種々なるアプローチの中で,本稿においては特に「指導のあり方」の問題についての考察をすすめてみたい。Die Entwicklungen der letzten zwanzig Jahre haven Padagogen immer wieder vor neue Probleme gestellt.Die whichtige Aufgabe besteht darin,Kinder wirksam zu begegnen.Es handelt in diesem Essay sich vor allem um folgende Akzente.1.Curriculumentwicklung als die Kultur im kleinen 2.Selvstandigkeit als der Erziehungszweck 3.Selbstbewusstsein der Richtung auf den Erziehungszweck hin 4.Vom Selbstgesetzgebung zum Selbstandigkeit 5.“Bewegung”beim Kind und“Richtung”beim Lehrer 6.Schelten und Loben 7.“Gelegenheit”und“Langmut”des Unterrichts.
- 大阪教育大学の論文
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