植物細胞壁溶解酵素の添加による清酒もろみにおける原料利用率の向上
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概要
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清酒もろみの原料利用率の向上を目的とし, セルロース, キシラン, およびペクチン溶解酵素といった, いわゆる植物細胞壁溶解酵素が, 清酒もろみの並行複発酵に及ぼす影響を検討した.セルロース, キシラン, およびペクチン溶解酵素を有する市販酵素剤の添加により, 蒸米の溶解およびアルコール発酵は顕著に促進され, またアルコール収得量も増加し, 原料利用率の向上が得られた.さらに, 麹菌を小麦フスマを基質とした液体振盪培養に供して得られた培養上清液よりアミラーゼ・プロテアーゼを除いた粗酵素液を調製し, もろみ発酵試験に供した.この結果, もろみ発酵・原料利用率ともに顕著に向上し, 酵素剤添加区の最高値に匹敵する結果を得た.調製した粗酵素液は著量のセルロース, キシラン, およびペクチン溶解活性を有することから, これらの植物細胞壁溶解酵素が, 清酒もろみでの蒸米の溶解・糖化に対する促進効果を有することが強く示唆された.
- 2001-08-25
著者
-
田中 健太郎
独立行政法人酒類総合研究所
-
福田 央
独立行政法人 酒類総合研究所
-
山根 雄一
(株)酔心山根本店
-
若林 三郎
(独)酒類総合研究所
-
藤田 仁
広大院・先端研・分子生命機能
-
日吉 智
独立行政法人酒類総合研究所
-
砂川 英之
独立行政法人酒類総合研究所
-
藤田 仁
独立行政法人酒類総合研究所
-
山根 雄一
独立行政法人酒類総合研究所
-
若林 三郎
独立行政法人酒類総合研究所
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