同時正逆抽出法による2-ヒドロキシ-1-(2-ヒドロキシ-4-スルホ-1-ナフチルアゾ)-3-ナフトエ酸中のマンガン(II)不純物の除去

概要

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微量分析においては,試薬中の不純物を除去することが重要である。2-ヒドロキシ-1-(2-ヒドロキシ-4-スルホ-1-ナフチルアゾ)-3-ナフトエ酸(NANA)はMn(II)の接触分析に使用される試薬であり,これまでに検出限界0.15pptという結果が報告されている。しかし高感度分析を妨害する試薬中の不純物の問題は依然として存在している。試薬の精製には多くの方法が用いられているが,溶媒抽出は最も広く用いられる方法である。本報では,同時正逆抽出法によるNANAの精製を目的として,NANA中のMn(II)の除去の条件を検討した。本法は液膜分離法の一種と考えられ,上り坂輸送を実現できる。5,7-ジョードオキシンを抽出試薬として使用すると,1.2×10-3MのNANA溶液100mlに加えた5μgのMn(II)を,最適条件の下で,1.5Mの硝酸中に40分間でほぼ100%回収できた。更に,精製したNANAを接触分析に使用したところ,空試験液の退色速度[ln(A1/A10)]は,0.061から0.038に低下し,検出限界は0.10pptに改善された。空試験値は含まれるMn(II)濃度に比例するため,本法によってNANA中の微量Mn(II)のうち40%が除去された。
社団法人日本分析化学会の論文
2000-08-05