水溶液中におけるガリウム(III)-ビピリジル錯体の蛍光特性

概要

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蛍光分析において, 高感度分析であるためには過剰試薬の蛍光強度が低い必要がある. 典型的なN,Nの配位試薬である2,2-ピビリジル(bipy)は1,10-フェナントロリン(phen)よりも蛍光強度が低く, 従って空試験値は小さい. 又, bipyはガリウム(III)と錯体を形成し, 蛍光を発することから測定器の感度を増幅することによりガリウムの高感度蛍光定量ができる. この分析に利用される錯体の温度依存性はphen鋸体に比較し, 著しく異なっていた. このことを解明するためにフロー法で蛍光強度, 吸光度の経時変化を測定することによりGa(III)-bipy錯体, Ga(III)-phen錯体の比較を行った. Ga(III)-phen錯体は非常に安定な錯体であるのに対して, Ga(III)-bipy錯体は時間の経過とともに解離し, 不安定な錯体であった. MOPACの計算からbipy分子はtrans平面構造で安定化し, その構造的特徴から平面構造をとりにくく, 錯体もその影響を受け, 蛍光強度に対する温度依存性が著しい. このような構造の特徴からbipyの蛍光強度を検討し, 水溶液中でのGa-bipy錯体の蛍光特性について明らかにした.
1998-09-05