束構造を用いた重複概念学習の検討

概要

論文の詳細を見る
クラス情報の付与されていない事例集合から, 漸次的に概念を学習する手法を一般に概念形成, あるいは概念クラスタリングと呼ぶ。COBWEBはその代表的なアルゴリズムであり, 階層木を用いて概念の階層構造を学習する。しかし, 階層木による分類は重複概念を適切に扱えないという欠点があることが指摘されている。重複概念とは「男性」と「成人」という二つの概念のように部分的に事例を共有する概念のことをいうが, 事例の集合を異なる観点から分類する場合に必ず現われる概念でありその扱いは重要である。従来の重複概念の学習手法は, 排他的な概念の対を複数求めるものであり, 概念の階層的な構造を適切に表現できるものではない。重複概念の階層構造の特徴として, ある概念が複数の概念に包含されることが挙げられる。GALOISはこの様な概念階層構造の記述に束を用いているが, 考え得る全ての概念を網羅的に学習するアプローチが採用されており, 事例数の増加が概念数や概念間のリンク数の爆発的増加をもたらすという欠点がある。本稿では, 漸次的に重複概念の階層構造を束として学習する手法を提案しその動作例を示す。
一般社団法人情報処理学会の論文
1997-09-24