自然語仕様から代数的仕様への,文脈を考慮した変換 : OSIセション層プロトコル仕様を例にして
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概要
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我々は,自然語によって記述されたプログラム仕様を代数的仕様に変換する変換法の検討と,その方法を用いて変換を行うシステムの作成を行っている.本方法では,自然語の各文(あるいは段落)から'論理式=true'の形の公理への変換規則を定義する.また,自然語文に現れる個々の語句の意味は,抽象データ型の述語や関数として,変換規則とは別に公理によって定義する.変換規則によって得られる公理,語句の意味を定義する公理,および論理式の従う論理体系を定義する公理の和集合からなる代数的仕様を,もとの自然語仕様に対する代数的仕様とする.変換規則は,構文規則,中間表現構成規則および公理生成規則から成る.まず,GPSGを用いて記述された構文規則に従って自然語文を構文解析し,構文木を得る.次に,構文木を,HPSGの語彙構造に似た中間表現と呼ばれる形式に変換する(中間表現構成規則).中間表現には,論理式への変換に際して必要となる情報のうち,例えば名詞句に対応するデータ型や,動詞句に対応する述語やその引数のデータ型に関する制約条件等が格納されている.なお,Γ=γ_1…γ_nを自然語文の系列,各γ_i(1≦i≦n)に対応する中間表現をA_iとするとき,中間表現の系列A_1…A_nを,Γに対応する中間表現の系列と呼ぶ.最後に,自然語文の系列(段落)に対応する中間表現の系列に対し,局所的な構文からの情報のみでは扱えない問題についての決定を行うことにより,もとの自然語文に対応した公理を得る(公理生成規則).現在,例題として,OSIセション層プロトコル仕様(以下,原仕様と呼ぶ)の中のSPM(セションプロトコルマシン,セション層の通信主体)の送受信動作を規定している部分(7章,約250文)を変換の対象とし,変換規則の精密化と,そこに現れる語句の意味定義を進めている.この仕様を選んだ理由は,構文の曖昧さが比較的少ないこと,仕様としての規模は大きいが,用いられている構文,語句の種類が比較的少ないこと,専門的な分野であるため,語句の意味が定義しやすいこと等である.以下,2.では公理生成規則について,原仕様の変換に際して考慮した点を述べる.次に3.で原仕様に現れる語句の意味定義について述べ,4.で変換システムの概要について述べる.
- 一般社団法人情報処理学会の論文
- 1989-03-15
著者
-
関 浩之
大阪大学基礎工学部
-
関 浩之
奈良先端科学技術大学院大学
-
嵩 忠雄
大阪大学基礎工学部
-
嵩 忠雄
奈良先端科学技術大学院大学 情報科学研究科
-
島袋 潤
大阪大学基礎工学部情報工学科
-
萩本 和彦
大阪大学基礎工学部情報工学科
-
藤井 護
大阪大学基礎工学部情報工学科
-
島袋 潤
(株)日立製作所 システム開発研究所
-
藤井 護
大阪大学大学院基礎工学研究科
-
関 浩之
大阪大学基礎工学情情報工学科
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