知識処理向き並列推論メカニズム
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概要
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知識処理システムでは、今後、大規模なデータを扱うような分析や診断問題・膨大な組み合わせを扱うような計画や設計問題・多大な計算を必要とするようなシミュレーション問題などを実時間で解く要求が高まってくるものと考えられている。これに答えるために、並列マシンの力を効率良く引き出すアプローチで、知識処理を高速化する研究が進められている。知識処理は、人間の知識をデータとして知識ベースに登録し、(1)知識ベースから必要なデータを検索した後、(2)それを分析・加工する処理と見なすことができる。従来の並列処理では、これらを並列化するために、OR並列に力点を置く研究とAND並列に力点を置く研究が別々に進められてきた。本報告では、知識処理システムをOR並列とAND並列の両方で並列化することに着目し、知識処理システムの代表的な機能である全解探索用推論エンジンをOR並列とAND並列の両方で並列化する方法とその測定結果について報告する。また、ここで使用したマシンは、並列マシンの実験用システムとして使っているSEQUENT社のSymmetry(8台のプロセサが共有メモリーで接続された構成)でありインプリメンテーション言語は、Commited-Choice型言語GHCある。GHCは単一代入言語であるので、Prologのバックトラック機構に対応する変数の書き換え機構を持たない。これにより、知識ベースを持つ推論エンジンの実現が難しいとされていた。ここでは、GHCに新しいデータタイプとして、$変数を導入する事により、OR並列とAND並列を旨く組合せる方法につて述べる。本研究は、制約型論理プログラミング言語・知識獲得や学習などで必要とされる知識ベース管理・確信度付きの推論エンジン・時間論理を持つ推論エンジン・意味ネットワーク用の推論エンジン・プロダクションシステム用推論エンジンなどをGHCで十分な並列効果を出しながらプログラミングする際の基本的な方式を提供していると言える。
- 一般社団法人情報処理学会の論文
- 1989-03-15
著者
-
服部 彰
富士通研究所
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服部 彰
Fujitsu Limited
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服部 彰
(株)富士通
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服部 彰
富士通株式会社
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北上 始
富士通
-
北上 始
富士通(株)
-
横田 治夫
富士通(株)
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北上 始
富士通株式会社
-
横田 治夫
富士通株式会社
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