御岳山・亜高山帯常緑針葉樹林における稚樹個体群密度の年次変動
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
御岳山の亜高山帯常緑針葉樹林で, 林内と形成後21年を経た林冠ギャップにおける稚樹の発生と死亡の過程を6年間追跡調査した。広葉樹は林内でも林冠ギャップでも毎年発生がみられた。シラベ(Abies veitchii LINDL), アオモリトドマツ(A.mariesii MASTERS), コメツガ(Tsuga diversifolia(MAXIM.)MASTERS), トウヒ(Picea jezoensis var.hondoensis(MAYR)REHDER)の各針葉樹の稚樹の発生年は同調していたが, 各々の種の発生数は大きな年次変動を示した。稚樹の死亡率は当年生から2年生にかけてが高かった。全齢個体群密度はこのため稚樹の発生年をピークに大きく変動した。稚樹の発生と死亡の過程は同じ種でも林内と林冠ギャップで異なっていた。林内のシラベ類とコメツガの個体群は個体の入れ替えを行いながら密度を平衡に保っていた。林冠ギャップのシラベ類とコメツガの個体群密度は6年間で増加の傾向を示した。今後, 林冠ギャップの林床の環境変化とともに, 各種稚樹の個体群密度や年齢構成も林内型へと変化していくものと考えられた。
- 日本森林学会の論文
- 1988-08-01
著者
関連論文
- ブナ天然林における維管束着生植物の分布と種数
- SP-17 ダブルバルーン内視鏡による診断が有効であったメッケル憩室出血の1切除例(特別ポスター3 小腸・出血,第62回日本消化器外科学会定期学術総会)
- ブナの豊凶がツキノワグマの食性に与える影響 : ブナとミズナラの種子落下量の年次変動に関連して
- マングローブ植物類(Sonneratia caseolarisとAegiceras corniculatum)の組織培養条件下における養分吸収特性
- 特別発表 ブナ天然林の種多様性に与える着生植物の影響
- 同一斜面上に生育するヒノキとミズナラ根重の垂直分布に関する知見
- 岐阜県飛騨地方における落葉広葉樹林の相対成長関係
- 上層木の開葉時期差がもたらす下層木の分布集中性(Journal of Forest Research)
- 上層木の開葉フェノロジーが林内に移植したツリフネソウの伸長成長に与える影響
- 改良した樹木直径測定用の遠隔輪尺の精度