落葉広葉樹林の皆伐初期における当年生稚樹の発生時期と死亡過程の関係
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概要
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落葉広葉樹林の皆伐跡地で,稚樹群の発生時期と定着過程の関係を解析した。32樹種がプロットに発生し,その密度は調査面積20m^2あたり1987年に351本,1988年に367本で,それらの約2/3を萌芽が占めていた。季節的な発生過程を調べたところ,いずれの樹種でも個体によって発生時期に数カ月の違いが認められた。クマイチゴやフルデなどの萌芽は5,6月の比較的早い時期で発生していた。実生で発生のピーク時期を比較すると,キハダとエゴノキのようにそれが5,6月と早いものと,フルデとヤマウルシのように7,8月と遅いものに分かれた。ハルニレではそのピーク時期が年によって変動した。発生月別に生存曲線を比較したところ,実生ではいずれの樹種でも発生当初に死亡が生じていたが,5,6月の早い月に発生した集団では,それ以降に発生したものよりも,発生当初の死亡率が低くなる傾向が存在した。萌芽では,概して生存曲線が緩やかな低下を示したが,遅い月に発生した集団では発生の初期に死亡する場合がみられた。発生時期と年間伸長量の関係を調べたところ,いずれの樹種でも早い月に発生した個体ほど年間伸長量が大きくなる傾向が認められた。稚樹群の発生時期がその死亡率に与える影響について議論した。
- 1990-12-25
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