ブナ・ミズナラ移植実生の生残過程における捕食者ネズミ類の生息地選択の影響
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概要
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ブナ・ミズナラ実生への野ネズミ類による捕食圧の立地変化を検討するため, 実生の移植実験を行った。Clethrionomys属のエゾヤチネズミと, Apodemus属のアカネズミとヒメネズミの3種の生息が確認できた緩やかな立地を平坦区, エゾヤチネズミを欠き, Apodemus属2種の生息が確認できた急傾斜地を斜面区とし, それぞれの実験区に実生を移植し, その生残を追跡した。ミズナラは両実験区において移植コホートが消滅した。一方, ブナは平坦区においてはミズナラ同様に生存率0%であったが, 斜面区では45%と高い値を示した。対照区として金網によりネズミ類の捕食圧を排除したコホートの生存率は, ブナが平坦区で72.2%, 斜面区で90%, ミズナラは両実験区で100%と高い値を示した。ブナ実生にとってはエゾヤチネズミのいない急傾斜地がセーフサイトであり, ミズナラ実生は両立地でApodemus属による捕食圧を強く受ける。
- 日本森林学会の論文
- 2000-02-16
著者
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