グラフの理論による林道網設計法
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
平地林道網の設計法については, 多くの論議がなされているが, その大部分は地形その他の条件の一様性を仮定した解析的方法である。しかし, 山岳林では, 地形等の制約が強く, 一般的な解析解を得ることは困難である。それゆえに, この解析的方法を全く離れて, いわば位相幾何的な方法を山岳林道網の設計に導入してみた。この方法は, 前もって対象とする全林に, 色々な観点から, 先ず林道を通すべき点を選び, それらの点を最小距離または最少建設費で結んで林道網とする方法である。対象とする森林のどの部分の材も一段集材(仮りに一段集材が最適だとすれば)で山土場へ集積出来るようにすると云うことを考えれば, 林道の通ずべき山土場を最小限度どのように配置すればよいかと云う問題が起る。今, 仮りに図-2のように地図上にA, B, C, Dと云う山土場を作ることの出来る地点と, その各点からの一段集材可能範囲が描かれる場合, その全領域は重なり合った集利範囲を示す線で多くの部分に分けられる。その各々の部分領域内の材は全て同じ土場に集材出来る。例えば, 部分領域1は, A点からの集材範囲でもあり, B点の集材範囲でもある。したがって領域1についてはAあるいはBを選べば十分である。これをA+Bと書く。また領域8をみるとこれはB+C+Dである。ところで, 今, 全ての領域を一段集材の範囲に入れたいわけであるから, 論理的に領域1 and領域2 and……and領域12という選択をしなければならない。このandを積の形で示して上の論理を代数表現する。(A+B)B(B+C)(A+B+C)(A+C)A(B+D)(B+C+D)(A+B+C+D)(A+C+D)(A+D)(C+D)……(1)例えば, A(A+B)はAと(Aか又はB)を選ぶと云うことであるから, 最小数の点を取ると云うことからAだけとればよいということになる。すなわちA(A+B)=Aである。この演算法を用いると(1)式はAB(C+D)……(2)となる。これを開いて(3)式を得る。ABC+ABD……(3)これが上の問題の解で, AとBとCを選んでも良く, AとBとDを選んでも良い。このどちらを選ぶかと云うことについては, どちらがより短い路線で結ぶことが出来るかという基準を用いた。次に上に選ばれたような土場地点, その他の考慮から選ばれた点を全部結びつける林道網のうち, その総延長が最も短かくなるようなものを選ぶわけであるが, これには, 次の手順を用いる。(1)先ず全ての組合せの二点間の最短路線を図上にえがく。(2)その各路線を比較して最短なるものを選ぶ。選ばれた路線で結ばれた二点を一点であるかの如くに見なして(1)に返る。この手順を全ての点が結ばれるまで続ける。このようにして一応最短ではなくともそれに非常に近い林道網が得られるわけである。以上のような方法によって京都大学の芦生演習林の林道網計画を作ってみたが, その結果は図-1に示す通りである。
- 1966-10-25
著者
関連論文
- 安定性を前提とした場合の腕関節部接地式森林作業機械の消費エネルギーの解析
- 腕関節部接地式森林作業機械の安定性と消費エネルギーの解析
- 間伐伐出作業による残存林分の損傷と林分の事後成長
- 航空写真を用いた林分蓄積量とその時系列変化の推定
- 四輪駆動車を対象とした林道の最急勾配について
- ステレオ写真プロッタ-の林道路線選定支援システムへの利用
- 急勾配林内道路における自動車のスリップ率について(IV) : 新設急勾配林内道路における登坂走行特性
- A10 間接加熱式低温度差型スターリングエンジンによる大阪万博公園における木質バイオマスコジェネ発電の実証試験(スターリングエンジン及び関連要素と応用システム(3))
- 地理的最適化手法を応用した林内路網配置の評価法
- 3支点集材架線についての研究(I) : (1)静的つり合い状態における計算法
- 港湾における外材原水処理のシステム化に関する研究
- グラフの理論による林道網設計法
- 三角架線用集材機のマイクロ・プロセッサー付操作装置
- ダブルエンドレス型架線の集材費用モデルについて--長方形伐区モデルにおける集材費用計算例
- 3支点架線のシミュレータによる操作について
- 3支点架線についての研究(V) : インタロックによる動力回生
- 3支点架線についての研究(IV) : 3支点架線の動的シミュレーションの方法
- T04 大規模公園におけるスターリングエンジン・木質バイオマスボイラ・コジェネシステムの運用(トピックス(研究速報,技術ノート,用途開発など))
- T08 スターリングエンジン木質バイオマスコジェネシステム実機導入へのNPOの取組(トピックス(研究速報,技術ノート,用途開発など(2))
- ファジィ推論による間伐木の選定
- 景観シミュレ-ションを用いた林道計画案の評価法
- 破砕帯急傾斜地における崩壊危険度を用いた高密度路網の計画法(I) : 地形図による崩壊危険度の判定
- 階層分析法AHPによる急傾斜地路網案の選択法について
- 作業日程計画に関する研究
- 3支点架線についての研究(VII) : 非皆伐伐出実験の結果
- 三角架線による広葉樹二次林の非皆伐伐出作業実験
- 3支点架線についての研究(VI) : 全油圧インタロック集材機の試作
- 最大原理による最適伐期の判定について
- 伐木作業の作業状態について
- 304.東大芦生演習林における玉切作業の功程につて(第72回日本林学会大会)
- 202.トラクタ集材作業における作業方法の相違と各因子の影響について
- 3支点集材架線についての研究(II) : (2)静的状態から類推される操作上の問題点と可能性
- T03 木質バイオマスボイラとスターリングエンジンの組み合せによる小規模コージェネレーションシステムを用いた電気自動車への充電走行試験報告(トピックス(研究速報,技術ノート,用途開発など))
- E211 大阪万博公園における木質ボイラーの熱利用による間接加熱式低温度差型スターリングエンジンの運転と電気自動車充電の実施結果(OS10 外燃機関・廃熱利用技術),動力エネルギーシステム部門20周年,次の20年への新展開)
- ファジィ積分による林道のり面の崩壊危険度判定法 : モデルの判別精度の検証
- ファジィ理論を用いた林道のり面の崩壊危険度判定法
- 森林保全と木材生産と基盤整備
- 508. トラクター・集運材作業について
- パワーショベル改造型簡易タワーヤーダによる作業システム(3) : 上げ荷集材と下げ荷集材の比較
- パワーショベル改造型簡易タワーヤーダによる作業システム(1) : 急傾斜地における間伐作業への適用
- タワーヤーダ用ワイヤロープのオンライン無損探傷
- 森林利用研究会シンポジウム"林業の機械化はどこまで実現できるか"
- 森林利用研究会シンポジュウム 急傾斜地の民有林における路網と搬出技術
- オブジェクト指向型モデルによる集材作業のシミュレーション
- 景観シミュレーションを用いた林道計画案の評価法
- パワーショベル改造型簡易タワーヤーダによる作業システム(2) : シミュレーションによる作業者の労働負担の評価
- 東カリマンタンにおける産業造林の作業環境と作業者の生理負担
- 東カリマンタンにおける産業造林作業者の疲労の評価に関する研究
- 東カリマンタンにおける産業造林作業者の移住モデルの受容度に関する研究
- マルチ・スペクトル空中写真による広葉樹林の活力度と樹種区分調査 : 蒜山演習林における秋期の事例
- 3支点架線の限界仕様について : 広葉樹林の場合
- 林道路線選定の数学的方法について
- 3支点架線の静的つり合い計算法について
- 林道設計とダイナミック・プログラミング
- 森林路網計画のための崩壊危険度の予測に関する研究(予報)
- 3支点集材架線についての研究(III) : (3)電磁クラッチによる索張力制御装置について
- 林道網問題に有用なグラフの理論概念と手法
- 伐木作業の場としての森林の層別法について
- 山落し集材作業の功程 : 京大芦生演習林における調査報告
- 212.山落し木寄せ作業の功程(防災・森林利用)(第71回日本林学会大会)
- チエーン・ソー伐木功程
- リニア・プログラミングによる伐木機械配置計画
- 定張力式索道の荷重点の軌跡について
- 平成11年度森林利用学会シンポジウム質疑応答記録(シンポジウム記録)