山腹斜面土層の飽和面形成における縦パイプの役割
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概要
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多摩丘陵の森林斜面において, 土層内に分布するパイプを観察・測定し, 直径1〜2cmの多数の縦パイプが存在することを発見した。斜面中腹の2カ所の調査溝(1m×1m×2.2m)には, 総延長7〜8mの縦パイプが存在した。次に縦パイプが飽和面形成において果たす役割を明らかにする目的で, 室内実験と野外実験を行った。透水性の良い表層土と透水性は悪いが縦パイプをもつ下層土からなる2層カラム浸透実験により, パイプの入口周辺に局所的な飽和面が形成される程度で, 縦パイプを通したすばやい雨水流下が発生することを明らかにした。人工降雨と自然降雨時における土層内の圧力水頭と井戸水位の観測により, 表層土の下端付近(遷移層と呼ぶ)とほぼ同時に, 下層土内のさまざまな深さに局所的な飽和面がすばやく形成されることを確認した。以上の結果より, 本斜面ではパイプを通した雨水流により下層土内に局所的な, すばやい飽和面形成が最初にあり, 続いてそれらが連結することにより, 一様飽和面に発達するという概念モデルを提案した。
- 日本森林学会の論文
- 1993-03-01
著者
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