丘陵性自然斜面における雨水移動の実証的研究(II) : 斜面内地中流の実態
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概要
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丘陵性自然斜面における雨水移動機構を解明するため, 多摩丘陵に試験斜面を設け, 土層中の水分変化を観測した。これより斜面全体にわたる等サクション線図と等水理水頭線図を作製し, その時間的変化を追跡して, 斜面内の雨水移動の実態を, 降雨の開始からそのピーク, 終了, 乾燥過程に至るまでに生起する各種の水文事象について詳細に説明した。なかでも, 不飽和浸透流の実態, 飽和側方流の諸相, 復帰流の役割等が明らかになった。また, これらの解析を通して, 斜面に生起する大半の現象が基盤地質の影響をうけていることを示し, とくに, 斜面頂部に存在する厚いローム層の役割について以下の点を指摘した。1)大きな土湿不足をもつため, 降雨流出に対していわば負のソースエリアとして働く。2)大量の雨水を一時貯留し, おそい直接流出に貢献する。3)急傾斜部以下に生起する諸水文現象の支配要因となる。
- 1985-10-25
著者
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