わが国のサツマイモ塊根に帯状粗皮症状を示すサツマイモ斑紋モザイクウイルスの新系統
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
帯状粗皮病に対して抵抗性を示すサツマイモより新しくひも状ウイルスが分離された。本ウイルス (VC分離株) は数種のIpomoea属植物, Chenopodium quinoa および C. amaranticolor に感染した。感染アサガオは第一本葉に典型的な葉脈透化を示した。本ウイルス感染アサガオ葉汁液の希釈限界は 10,000〜100,000倍, 不活化温度は 50〜60℃, 保存限界は1日以内であった。ウイルス粒子は長さ 850〜880 nm で幅13 nm であった。本ウイルスはモモアカアブラムシによって非永続的に伝搬され, サツマイモ斑紋モザイクウイルス (SPFMV, Mo分離株) との間で血清学的類縁関係が認められたが, 同一ではなかった。ポリアクリルアミドゲル電気泳動の結果, 純化 VC および Mo の外被タンパク質はともに3つの成分 (分子量32,000, 30,000および29,000) に分離した。しかし, electro-blotimmunoassay により VC 感染葉では分子量 38,000 の主なバンドと分子量 97,000 のバンドが, Moでは分子量 38,000 のバンドが認められた。VC を単独で無毒のサツマイモに接種したところ塊根に典型的な帯状粗皮症状が認められた。これらの結果は VC は帯状粗皮病の病原ウイルスであり, SPFMV の新しい系統であることを示している。ここに VC および Mo をそれぞれ SPFMV 強毒系統 (severe strain) および普通系統 (ordinary strain) と命名したい。
- 1994-10-25
著者
-
大貫 正俊
九州農業試験場
-
中野 正明
国際セ
-
宇杉 富雄
国際農林水産業研究センター沖縄支所
-
中野 正明
農林水産技術会議
-
真岡 哲夫
国際農林水産業研究センター沖縄支所
-
林 隆治
国際農林水産業研究センター
-
宇杉 富雄
国際農林水産業研究セ
-
眞岡 哲夫
国研セ沖縄
-
林 隆治
国際セ
-
林 隆治
国際農林水産業研究センター生物資源部
関連論文
- 我が国の双子葉植物に発生するジェミニウイルスのPCR増幅と一部塩基配列の解析
- リンドウこぶ症株で見出されたウイルス様粒子
- (324) "Candidatus Phytoplasma fragariae"によるイチゴ黄化病(新称)の発生(平成20年度日本植物病理学会大会講演要旨)
- こぶ症状を示すリンドウで認められたウイルス様粒子について(東北部会講演要旨,平成18年度地域部会講演要旨)
- (387) 日本産"Candidatus Phlomobacter fragariae"の16S rDNA塩基配列の解析(平成18年度日本植物病理学会大会講演要旨)
- 'Candidatus Phytoplasma asteris'によるリンドウてんぐ巣病の発生(病原追加)
- タマネギ萎黄病ファイトプラズマにおけるニチニチソウ内維持期間と昆虫伝搬介喪失及び染色体外DNA変異との関係(関東部会講演要旨,平成17年度地域部会講演要旨)
- (383) イチゴ葉縁退緑病(新称)の発生(平成17年度日本植物病理学会大会講演要旨)
- (38) タマネギ萎黄病ファイトプラズマの昆虫伝搬能喪失系統における染色体外DNAの多型(関東部会講演要旨, 平成16年度地域部会講演要旨)
- (386)タマネギ萎黄病ファイトプラズマの植物宿主への感染に与える媒介昆虫の影響(平成16年度日本植物病理学会大会講演要旨)
- (385)虫体内注射されたタマネギ萎黄病ファイトプラズマの数種昆虫体内における増殖(平成16年度日本植物病理学会大会講演要旨)
- (332)凍結および凍結乾燥処理によるタマネギ萎黄病ファイトプラズマの長期保存(平成15年度日本植物病理学会大会講演要旨)
- 保毒虫磨砕液を用いたタマネギ萎黄病ファイトプラズマの保存について (第30回日本マイコプラズマ学会学術集会) -- (シンポジウム2 ファイトプラズマ研究のフロンティア)
- (380)合成ペプチド抗体を用いたELISA法によるファイトプラズマの検出(平成14年度 日本植物病理学会大会講演要旨)
- (377)沖縄におけるキク緑化病(新称)の発生(平成14年度 日本植物病理学会大会講演要旨)
- (376)ラークスパーてんぐ巣病(新称)の発生(平成14年度 日本植物病理学会大会講演要旨)
- (285) 九州農試筑後圃場に発生するムギ類萎縮ウイルスの系統と品種抵抗性 (日本植物病理学会大会)
- (256) 感染特異蛋白分子量の違うイネ縞葉枯ウイルス系統の日本各地における分布状態 (平成2年度大会講演要旨)
- 日本でトマトに発生した tomato yellow leaf curl Virus
- 実生苗への接木接種法を用いたサツマイモ帯状粗皮病抵抗性系統の選抜
- イネラギッドスタントウイルスにおける昆虫伝搬性の喪失
- (114) 沖縄県下のモクマオウ防風林における南根腐病の被害実態 (平成2年度大会講演要旨)
- (319)アルゼンチンの黄斑,縮葉症状を呈するダイズから検出されたgeminivirusの塩基配列(平成9年度日本植物病理学会大会講演要旨)
- (260) トマト退緑萎縮ヴイロイドの感染宿主域と感染性cDNAクローンの開発(平成20年度日本植物病理学会大会講演要旨)
- (172) 本邦新発生ウイロイドTomato chlorotic dwarf viroidによるトマト退緑萎縮病(仮称)(平成19年度日本植物病理学会大会講演要旨)
- 保毒虫磨砕液中におけるタマネギ萎黄病ファイトプラズマの諸性質 (第29回日本マイコプラズマ学会学術集会)
- (222)クリ萎黄病ファイトプラズマの系統遺伝学的解析
- (19) 南根腐病によるデイゴ樹の罹病経過 (九州部会)
- (267) 南西諸島のパパイヤから分離されたパパイヤ輪点ウイルスP系統(PRSV-P) およびパパイヤ奇形葉モザイクウイルス(PLDMV) (日本植物病理大会)
- わが国のサツマイモ塊根に帯状粗皮症状を示すサツマイモ斑紋モザイクウイルスの新系統
- (7)わが国におけるPassiflora latent virusの発生について(平成9年度日本植物病理学会大会講演要旨)
- (10) パパイア感染葉からのPotyvirus検出のためのWestern blotting法の改良 (九州部会)
- (2) サツマイモシンプトムレスウイルスはカルラウイルスである (九州部会)
- (303) サツマイモ潜在ウイルスのゲノムRNA3'末端領域の構造解析 (日本植物病理大会)
- (308) パパイア奇形葉モザイクウイルス(PLDMV)のゲノムRNAの3'末端領域の構造解析 (日本植物病理大会)
- (256) サツマイモ斑紋モザイクウイルス4系統間における諸性質の比較 (日本植物病理大会)
- RT-PCRによるサツマイモ斑紋モザイクウイルス強毒系統 (SPFMV-S) の特異的検出
- わが国のパパイアにおけるパパイア輪点ウイルス-パパイア系 (PRSV-P) の初発生
- (20) サツマイモ斑紋モザイクウイルス徳島系統のゲノムRNA3'末端領域の構造解析 (九州部会)
- (19) RT-PCRを用いたサツマイモ斑紋モザイクウイルスの系統特異的検出 (九州部会)
- (18) RT-PCR を用いたサツマイモからのサツマイモ斑紋モザイクウイルスの検出 (九州部会)
- (306) 石垣島のパパイアから分離したパパイア奇形葉モザイクウイルス黄斑モザイク系統 (PLDMV-YM) (日本植物病理学会大会)
- (305) 帯状粗皮病に対するサツマイモの抵抗性系統及び感受性品種の反応 (日本植物病理学会大会)
- (284) サツマイモひも状ウイルスの検定法および南西諸島における発生状況 (日本植物病理学会大会)
- (156) アイソザイム分析による南根腐病クローンの林内分布様式の解明 (日本植物病理学会大会)
- (2) サツマイモ斑紋モザイクウイルス強毒系統 (SPFMV-S) のゲノム RNA の構造解析 : 5'末端領域 (九州部会)
- (289) サツマイモ斑紋モザイクウイルス強毒系統(SPFMV-S)のゲノムRNAのクローニングと構造解析 : CIおよびP3タンパク質遺伝子 (日本植物病理大会)
- (255) サツマイモから分離されたサツマイモ斑紋モザイクウイルスF系統 (日本植物病理大会)
- (254) サツマイモ斑紋モザイクウイルス徳島系統(SPFMV-T)の諸性質について (日本植物病理大会)
- (240) RT-PCR法によるサツマイモ斑紋モザイクウイルス強毒系統(SPFMV-S)の検出 (日本植物病理大会)
- (26) サツマイモ斑紋モザイクウイルス強毒系統(SPFMV・S)のゲノムRNAの構造解析 : VPg及び6K2遺伝子 (九州部会)
- (25) サツマイモ斑紋モザイクウイルス強毒系統(SPFMV-S)のクローニング : 核封入体遺伝子より上流域のcDNAクローン (九州部会)
- (24) サツマイモ葉巻ウイルスの宿主範囲と部分純化 (九州部会)
- 石垣島のキュウリに発生するズッキ-ニ黄斑モザイクウイルス(ZYMV)とその発生生態
- (364) サツマイモ斑紋モザイクウイルス強毒系統(SPFMV-S)のゲノムRNAの構造解析: NIaプロテアーゼドメイン領域 (日本植物病理学会大会)
- (363) サツマイモ斑紋モザイクウイルス普通系統および強毒系統に対する特異的合成 DNA プローブによる両系統の識別 (日本植物病理学会大会)
- (315) 南西諸島のパパイヤに発生するウイルスの品種反応と血清学的診断法 (日本植物病理学会大会)
- (288) サツマイモ斑紋モザイクウイルス強毒系統 (SPFMV-S) の純化と血清学的性質 (日本植物病理学会大会)
- (25) サツマイモ斑紋モザイクウイルス普通系統 (SPFMVO) の3'末端領域の塩基配列 (九州部会)
- 日本のサツマイモより分離された3種のひも状ウイルスについて
- 石垣島のハウス栽培キュウリにおけるトマト黄化えそウイルス(TSWV)の発生生態
- (255) サツマイモの塊根に帯状粗皮症状をひき起こすひも状ウイルスについて (平成2年度大会講演要旨)
- (217) サツマイモから分離されたひも状ウイルス(Mo株)のクローニング (平成2年度大会講演要旨)
- (32) サツマイモのウイルスの多様性 : (1) 沖縄のサツマイモに見いだされたひも状ウイルス (秋季関東部会講演要旨)
- (253) ダイズモザイク病の圃場における蔓延 : (7) ダイズモザイクウイルス保毒種子率の経年変化 (平成元年度日本植物病理学大会講演要旨)
- (243) サツマイモより分離された3種のひも状ウイルスの諸性質およびSSEM-PAG法による検出 (平成元年度日本植物病理学大会講演要旨)
- (225) ダイズモザイクウイルス(SMV)A系統を接木した抵抗性品種から分離される重症系統 (昭和63年度日本植物病理学会大会講演要旨)
- ダイズモザイクウイルスの感染時期と被害
- オオムギ黄萎ウイルスの純化および血清学的診断
- (207) サツマイモ帯状粗皮症状株から分離された3種の汁液伝染性ひも状ウイルスについて (昭和62年度日本植物病理学会大会講演要旨)
- (199) ダイズモザイク病の圃場における蔓延(6) : 種子伝染率の収束値の実証 (昭和62年度日本植物病理学会大会講演要旨)
- (8) 九州地域における土壌伝染性ムギウイルス病の種類, 系統およびその発生分布 (九州部会講演要旨)
- 筑後産ヒメトビウンカによるイネ縞葉枯ウイルスの媒介能力-2-
- ダイズモザイク病の蔓延に対する薬剤処理の効果
- 九州地域におけるオオムギ黄化萎縮ウイルス及びコムギ黄葉ウイルスの発生
- (44) ダイズモザイク病の圃場における蔓延 : (5) 種子伝染率の経年変化モデルと種子伝染率の収束値 (昭和61年度日本植物病理学会大会講演要旨)
- 筑後産ヒメトビウンカによるイネ縞葉枯ウイルスの媒介能力-1-
- 石垣島の耕地防風林に発生したシマサルノコシカケによる樹木の南根腐病 : 被害実態, 病原菌および接種試験
- 岡山県で発生したダイズモザイクウイルス(SMV)-A2系統(関西部会講演要旨)
- パパイアリングスポットウイルス外被タンパク遺伝子を導入した組換えパパイアの隔離圃場における環境に対する安全性評価
- (274)中国東北地方におけるダイズウイルス病(平成9年度日本植物病理学会大会講演要旨)
- マルチウイルス・マルチストレイン抵抗性組換えパパイアの作出 : PRSV抵抗性パパイア・サンアップのPRSVアジア株およびPLDMVに対する反応
- (26) マルチウイルス・マルチストレイン抵抗性組み換えパパイアの作出 : ベクターの構築と遺伝子導入 (九州部会講演要旨)
- (24) パパイア奇形葉モザイクウイルスウリ科系統(PLDMV-C)の外被タンパク質(CP)遺伝子の塩基配列決定 (九州部会)
- (8)パパイア奇形葉モザイクウイルスウリ科系統(仮称)の発生(平成9年度日本植物病理学会大会講演要旨)
- パパイア輪点ウイルスに関する研究
- タイのゴマフィロディーファイトプラズマの DNA の検出
- (236) 中国東北地方のダイズに発生したひも状ウイルス (平成11年度 日本植物病理学会大会)
- (307) ダイズモザイクウイルス系統の国際比較(1)
- 石垣市のホウライカガミに発生するpotyvirus
- (17) 石垣島のレタスとセンダングに発生する2種類のPotyvirusについて (九州部会講演要旨)
- (383) 石垣島のタバコから分離されたpotyvirus
- (19) フサナリツルナスビに発生するジャガイモYウイルス(PVY) (九州部会)
- (270)ハイビスカス退緑斑ウイルスとハイビスカス黄斑ウイルスの自然発生植物(平成9年度日本植物病理学会大会講演要旨)
- サトウキビ白葉病ファイトプラズマの染色体外DNAの塩基配列解析
- 16sDNA 分析により明らかになった東北タイで発生しているファイトプラズマの複雑なフローラ
- イネ黄萎病およびサトウキビ白葉病ファイトプラズマの染色体外DNA
- イネおよびツマグロヨコバイ (Nephotettix cincticeps) 体内におけるイネ黄萎病ファイトプラズマの増殖と分布
- 保毒虫磨砕液を用いたタマネギ萎黄病ファイトプラズマの保存について
- 保毒虫磨砕液中におけるタマネギ萎黄病ファイトプラズマの諸性質