人工膜上におけるBlumeria graminis分生子の細胞壁分解酵素放出
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概要
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Blumeria graminis(Syn:Erysiphe graminis)分生子を2種の疎水性人工膜(疎水性処理をしたセルロース膜およびプラスチック)上で発芽させ, 発芽胞子からの滲出物に含まれるセルラーゼ, ペクチナーゼ活性を検定した。分生子を人工膜上で1, 6および16時間培養し, それぞれ第一次発芽管, 付着器発芽管, 成熟付着器を形成させた。その人工膜を10mM Tris-HCl (pH7.0)緩衝液で洗い滲出物を回収した。回収液を陰イオン交換カラム, 陽イオン交換カラムに通した。前者のカラムから各濃度のNaClで溶出した画分をCMCプレート法, PNPC法で検定したところセルラーゼ活性を示したが, PYAプレート法によるペクチナーゼ活性は認められなかった。このように, セルラーゼは人工膜上で接種後16時間までに発芽胞子から放出された。また, 接種後1および6時間までに放出された滲出物は弱いセルラーゼ活性を示したが, ペクチナーゼ活性は認められなかった。一方, 分生子柄上から直接採取した未発芽胞子を同じ緩衝液で洗った回収液中にはこれらの酵素活性は検出されなかった。しかし, 未発芽胞子を1 M NaClで洗った洗浄液にはペクチナーゼ活性のみが認められた。この結果は, ペクチナーゼは分生子表面に強く結合していることを示唆している。さらに, 分生子磨砕物中に両酵素活性が認められ, 両酵素が胞子に構成的に存在することが示された。この報告はうどんこ病菌の分生子がセルラーゼ, ペクチナーゼを生産し, セルラーゼが形態形成に伴って放出されることを直接的に示す最初の報告である。
- 1998-06-25
著者
-
久能 均
三重大学生物資源学部植物病学研究室
-
露無 慎二
静岡大学農学部
-
露無 慎二
静岡大学創造科学技術大学院
-
久能 均
岡大院自然科学:(株)赤塚植物園生物機能開発研究所
-
久能 均
三重大農
-
鈴木 俊二
秋田県大生資
-
小宮 友紀子
野菜茶業研究所果菜研究部:(現)肥飼料検査所
-
Carver Timothy
Institute Of Grassland And Environmental Research
-
Carver Timothy
Institure Of Grasslands And Environment Research
-
鈴木 俊二
三重大学生物資源学部
-
小宮 友紀子
三重大学生物資源学部
-
三井 友宏
三重大学生物資源学部
-
NICHOLSON Lalph
Department of Botany and Plant Pathology, Purdue University
-
Nicholson Lalph
Department Of Botany And Plant Pathology Purdue University
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