動的コンパイラにおける実行時経路情報の構造的収集手法の提案

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本論文では,構造的パスプロファイル収集手法という,主に動的コンパイラを対象とした新しいパスプロファイル収集手法を提案する.パスプロファイル情報は,プログラムの実行挙動を把握するうえで非常に重要な情報の1つであるとともに,実行状態に適するようにプログラムの変形操作を実施するような最適化において非常に有用な情報となる.特に動的コンパイラではプログラムの実行中にプロファイルを収集し,かつ最適化に反映できるので,従来の静的コンパイラに比べてより進んだ最適化の実施が可能となる.しかしながら,従来の動的コンパイラでは,主にプロファイル収集コストが高いことから,パスプロファイル情報が利用されてこなかった.本論文で提案する構造的パスプロファイル収集手法では,パスプロファイル情報を,階層化された構造グラフを用いて収集することで,従来手法と同等の精度のパスプロファイルをより少ないオーバヘッドで収集することを可能とした.本手法をIBM Java Just-in-Timeコンパイラに実装して評価したところ,プロファイルが頻繁に実施される状況においても,全実行を通じて収集したプロファイルと比較して約90%の精度のパスプロファイル情報を,平均で2〜3%のオーバヘッドで収集できることを示した.
一般社団法人情報処理学会の論文
2003-11-15

動的コンパイラにおける実行時経路情報の構造的収集手法の提案

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