二重盲検法によるDisodium Cromoglicateの小児気管支喘息に対する効果の検討特に症状その他の点数化による評価の試み
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概要
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東大小児科アレルギー外来他で治療している小児喘息患児, 男児21名, 女児9名, 計30名(年令6〜15才, 平均年令9.6才)にdisodium cromogicateを吸入せしめて, その有効性を確かめた.検討方法としては, 二重盲検法を用い, 医師および患者の保護者(主に母親)の評価, さらに喘息手帳に記入された笛声.喘鳴・発咳症状などの発現回数, 気管支拡張剤などの頓用剤使用回数, さらに症状・治療法の適当な点数化によって行なった.統計学的な方法としては, 喘息の症状など変動の大きい特性値を扱うので順位数に変換して検討する方法(Wilcoxon符号つき順位差検定・符号検定)を用いた.その結果を要約すると次のごとくである.1.医師による総合判定では, placebo投与期間より, DC投与期間の方が, 喘共の症状が有意に軽減された.患者(両親おもに母親)による判定では有意差が得られなかった.2.「笛声・喘鳴」症状および「笛声・喘鳴・発咳症状の発現回数は, placebo投与期間より, DC投与期間に有意義をもって減少した.「発咳」症状のみの発現回数には, 有意差はなかった.3.喘息発作の対症剤としての頓用剤(Aminophyllin, Ephedrin, Hystamin合剤)の使用回数をみると, DC投与期間ではplacebo投与期間の半分で, 有意に低下した.4.表2にしたがって総合点数および喘息指数を計算すると.DC投与期間では総合点数でplacebo投与期間の半分以下, 指数で1/5に低下し, 有意に喘鳴症状は改善した.以上より, disodium cromoglicateは, 小児喘息に有効であると考えられた.
- 日本アレルギー学会の論文
- 1970-01-30
著者
-
小林 登
東京大学小児科教室
-
河野 睦明
東京大学小児科教室
-
春名 英彦
東京大学小児科教室
-
高島 宏哉
東京大学小児科教室
-
早川 浩
東京大学医学部附属病院分院
-
河野 睦明
東京日立病院小児科
-
小林 登
国立小児病院小児医療研究センター
-
十字 文子
日本臨床アレルギー研究所 新橋アレルギーリウマチクリニック
-
高島 宏哉
臨床アレルギー研究所
-
十字 文子
東京大学小児科
-
早川 浩
東京大学小児科外来
-
菊池 郁子
東京大学小児科外来
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