妊娠中β-endorphin分泌動態について : 尿中β-endorphin測定の応用

概要

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妊娠中の母体β-endorphin(β-end)の分泌能の変化を調べる目的で、正常妊婦41名を対象に血液と同時に2時間尿を採取し、血液並びに尿中β-endorphin様免疫活性(ir-β-end)の測定を試みた。尿中ir-β-endはSep-Pak C_<18>カラムを用いて抽出し、その基礎的検討をおこなつた。また、非妊婦と妊婦における尿中ir-β-endのゲル炉過像についても検討した。1)ヒト尿中ir-β-endは、室温24時間の保存条件下でも安定であつた。2)SepPakC_<18>カラムによる尿中irβ-endの回収率は88.5±4.8%(M±S.D.)で血液の84.0±8.3%と有意差はなかつた。3)irβ-endの血中濃度並びに尿排泄量は非妊時と妊娠初期とでは有意差は見られなかったが、妊娠中両者は平行して徐々に増加傾向を示し、妊娠末期とくに36週以降は非妊時と比べ有意な増加(p<0.001)を示した。4)ir-β-endのonepointの血中濃度と2時間尿排泄量の間には有意な相関関係(r=0.658、p<0.01)が見られた。5)尿中ir-β-endのゲル炉過像は、humanβ-1ipotropin(h-β-LPH)の溶出部位に一致する大きなピークと、humanβ-endorphin(h-β-end)に一致する小さなピークの他に、両者の間に比較的大きな第三のピークを認めた。6)尿中ir-βend測定の臨床応用への可能性が示唆された。
社団法人日本産科婦人科学会の論文
1986-04-01