卵巣性第II度無月経症に対するKaufmann療法の意義
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概要
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卵巣性第II度無月経症の間脳下垂体卵巣系に対し,Kaufmann療法が与える影響を,血中LH,FSH,estradiol-17β(E_2)値により検討した.対象は11例で,方法はestrogen depot (E-depot)とprogesterone depot (P-depot)の周期的筋注によるKaufmann療法を3〜5 cycle行い,その前後にLH-RH testを行つた.また治療後約2ヵ月間経過を観察した.その結果,1) Kaufmann療法前のLH-RH testでは全例high-good型を示したが,治療後はlow-poor型からslightly high-good型を示し,LH-RH testの実施にあたつては,性ステロイド剤投与の影響がかなり長期間及ぶことを考慮すべきであることが分つた.2) E-depot投与後連日採血測定により,第II度無月経症では正常男子にくらべ長期間E_2値が高値を持続する例がみられた.3) Kaufmann療法中はE-depot投与後,10日目まではE_2高値,FSH,LH低値を示す群とE_2低値,FSH,LH高値を示す群がみられた.以上の2),3)より第II度無月経症にはE_2値を高値に保つ何らかの機構が存在することが推察された.4) Kaufmann療法後はFSH,LHともに上昇し,LHは3〜5週間後,FSHは2〜4週間後にはピークに達した.またE_2値は1週間後には低値にもどる例が多かつた.なかには自然上昇したり,高値を保つ例もみられ,Kaufmann療法のcyclicな刺激が何らかの好影響を与えることが示唆された.5) 正常月経周期婦人の卵巣摘出術後では2日目からFSH,LHともに上昇を始め,FSHは1週間後にほぼプラトーに達し,LHは2週間後にはまだ上昇傾向を示した.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1978-12-01
著者
-
立山 浩道
九州大学温泉治療学研究所産婦人科
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宇津宮 隆史
九大 生体防御医研
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宇津宮 隆史
九州大学温泉治療学研究所産婦人科
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梶原 健伯
九州大学温泉治療学研究所産婦人科
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山口 省之
九州大学温泉治療学研究所産婦人科
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片桐 英彦
九州大学温泉治療学研究所産婦人科
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門田 徹
九州大学温泉治療学研究所産婦人科
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