^<137>Cs遠隔照射による子宮頸癌の治療 : 第1報 装置並びに基礎的線量測定
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概要
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^<137>Cs 2000C遠隔治療装置による子宮頚癌の治療を開始するに当り, 基礎的線量測定を行つた. 子宮頚癌一照射術式に於ては, 照射野の設定は重要且つ困難な問題である. われわれはMarburg大学法にならい, 照射目標点(M点)を決定しX線写真により照射時の体位変動によるM点の移動を検討した. 20例の患者に於て, 仰臥位から腹臥位へのM点の移動は, 前方へ平均2.0cmであつた. 従つて腹臥位照射時は, 各例に於てM点を補正する必要がある. われわれの行つている照射法は, 3門照射法(骨盤腔均等照射)-A_1, A_2, A_3法(16×10cm^2, SSD45cm, 腹野, 上臀野, 下臀野), 同-B法(腹野, 背野, 会陰野)と, 6門照射法(骨盤壁照射)-C法(4×10cm^2, SSD45cm, 前, 後, 側各2門, 中心5cm分離)を用いた. 各照射法による骨盤内線量分布を検討すると, 骨盤腔均等照射の点では, A_3法B法がすぐれ, 骨盤壁照射では, C法で可成り満足すべき線量分布が得られる. 1963年1〜4月に当科に入院した子宮頚癌患者の中20例につき, 骨盤X線写真により計測を行い, 骨盤内基準点(A点, B点, T点, R点)の深度を計算し, その深部量率及び吸収線量を算出し, 最高表面線量/病巣線量-比と併せ検討した. 20例の平均値では, 1野4000radを照射すると(A_2法では上臀野, 下臀野に各3200rad, A_3法ではそれぞれ2800rad, B法では会陰野を2000radに減量する), 最高表面線量はA_1法5360rad, A_3法4900rad, B法4000rad, C法4589radであり, 病巣線量は, A_1法5058rad, A_3法4013rad, B法4136rad, C法(B点線量)5076radであつた. 最高表面線量/病巣線量-比は, A_1法1.06, A_3法1.19, B法0.97, C法0.90であつた. R. du Mesnil de Rochemont (1962)の^<60>Co照射による計算値はほぼ等しい病巣深度に於て, A_1法(ほぼ類似)0.78, B法0.76で, ^<60>Coの方が骨盤内線量分布と共にやや有利の様に思われるが. 従来のX線装置に比べると, 深部量率, 骨吸収, 皮膚障害などの点から充分有利であり, 更に経済的見地からすれば^<137>Cs遠隔照射は子宮頚癌のγ線外照射治療の一層広い実用に適しているものと考えられる.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1964-03-01
著者
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