RIA, HAIRおよびE_3 kitによる尿中estriolの測定とその臨床応用
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概要
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radioimmunoassay (RIA)による尿中estriol (E_3)測定法について基礎的研究を行い,hemoagglutination inhibition reaction (HAIR)法と比較検討した.さらに無排卵症のゴナドトロピン療法時における尿中測定について臨床応用を試み,次の成績を得た. 1) 尿中E_3測定法として新しく開発したRIAを用いて,妊婦尿中E_3を測定したがE_3特異性の高い抗体を用いたため被検尿は抽出操作のみで測定でき,測定の手技を簡易にかつ測定時間も短縮できた.男子尿に加えた一定量のE_3を測定した結果相関係数0.99と高い精度を示し,29例の妊婦尿についてRIAと従来の化学的測定法による値とを比較した結果も,相関係数0.95と高い相関を示し,信頼性の高い方法である事を確認した.このRIAと,簡易な半定量法であるHAIR法による測定値を妊婦尿60例について検討した結果,両者間の相関係数は0.78であつた.HAIR法が半定量法であり,また測定値は尿中総estrogen値である点を考慮に入れると,良い相関を示すものと言える.Amberlite XAD-2吸着を利用した測定法(E_3 kit)による値とHAIR法による値との相関係数は0.81であつた. 2) 無排卵症のゴナドトロピン療法15例について連日随時尿にて尿中E_3濃度をHAIR法およびRIAにて測定した結果,排卵誘発成功例9例中4例にHAIR法の感度である0.2μg/ml以上のE_3排泄を認め,そのうちの2例は2.0μg/ml以上のE_3排泄があり,臨床的にも卵巣過剰刺激が認められた.排卵成功例の他の5例のE_3濃度は0.08μg/ml以下で,HAIR法では測定不能であつた.排卵不成功例ではさらに低いE_3排泄しか認めなかつた.従つてゴナドトロピン療法に際してHAIR法で連日尿中E_3を測定し0.2μg/ml以上の排泄があれば厳重に経過を観察する必要があり,卵巣過剰刺激防止のモニタリングとして,HAIR法は臨床的に利用価値の大きいものであると考えられた.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1976-08-01
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