ヌードマウス移植継代系を用いた胚細胞性腫瘍に対する実験化学療法

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近年、卵巣癌治療の進歩は、めざましいものがあるが、胚細胞性腫瘍の化学療法は、未だ確立されたものがなく、改善の余地があると思われる。我々は、胚細胞性腫瘍であるヒト未分化胚細胞株(JOHYL-1)腹水型を用い、Vincristine(VCR)、ActinomycinD(ACD)、CyclQphosphamide(CPM)単剤及び併用の効果を検討し、次の成績を得た。(1)JOHYL-1(腹水型)ヌードマウス移植株に対し、VCR、ACD、CPMを単剤投与すると、VCRはmetaphase arrestをおこさせ、ACDは核破壊、核酸合成阻害が強く、CPMは細胞回転抑制効果が特徴的であった。胚細胞性腫瘍に対しより有効であることが示唆された。(2)JOHYL-1(固型)株、JG3(固型)株、担癌ヌードマウスに、上記三者による、VAC併用療法として、VCR1回、ACDとCPMを5回の分割投与するA群と、VCRを5回分割、ACDとCPMを1回大量投与するB群を比較したところ、組織所見上、B群がより効果的であった。(3)A群とB群で、副作用における有意差は認められなかった。以上の結果より、ヒト胚細胞性腫瘍ヌードマウス移植の実験化学療法において細胞効果の異なる三者を単剤で使用するより、三者の併用療法がより有効であり、その組合せ方法はVCRの5回分割、ACDとCPMの1回大量投与が有効であることが確認された。
社団法人日本産科婦人科学会の論文
1986-07-01

ヌードマウス移植継代系を用いた胚細胞性腫瘍に対する実験化学療法

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