卵巣悪、性腫瘍の腹水における生化学的動態

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卵巣悪性腫瘍の腹水中における種々の生化学的検査、Lactade hydrogenase(LDH)、LDHisozyme、alkaline phosphatase(ALP)、ALP isozyme、Total protein(TP)、α_1-acidglycoprotein(α_1-AG)、α_1-antitripsin(α_1-AT)、α_2-macroglobulin(α_2-M)、IgGの6項目につき、術前ならびに治療経過中に測定し、良悪性の鑑別ならびに治療効果判定に有効か否かを検討し、次の結果を得た。A)LDH、LDH isozymei)胚細胞系ではLDH_138.8%、H/M比2.82と良性群のLDH115.2%、H/M比1.05に比し、有意に高値を示した。ii)腺癌ではLDH527.2%で良性のLDH515.7%に比べ、28例中15例53.6%に陽性を示した。iii)治療有効例にLDH総活性の低下と、H/M比の上昇傾向を示した。B)ALP、ALP isozymei)悪性群は良性群に比し、総活性値、HSAP値、共に高値を示し、isozyme分画はα_2、α_2〜β領域に著明に出現し、熱失活後も同領域に残存していた。ii)治療有効例の総活性値は有意に低下した。C)TP、α_1AT、α_1-AG、α_2M、IgGi)α_1-AT、α_2-M、IgG値においては胚細胞系、性腺間質系、良性群に有意な差は認められなかったが、腺癌ではα_1-AT、吻M値は良性群のそれに比し高値であった。ii)α_1-AG、α_2-AG/TP比値は胚細胞系と腺癌に高値を示し、腫瘍の悪性度と相関する傾向を認めた。以上、腹水中LDH isozyme、ALP isozyme、α_1-AG、α_1-AT、α_2-M、IgG等を同時に測定することにより、他の特異的なmarkerのない卵巣悪性腫瘍に対して、良悪性の鑑別、組織型の推定、腫瘍の拡がり、更に治療効果判定、臨床経過等を推定する上で、有力な補助的役割を果たすものと考えられた。
社団法人日本産科婦人科学会の論文
1986-06-01

卵巣悪、性腫瘍の腹水における生化学的動態

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