培養ヒト皮膚線維芽細胞への dihydrotestosterone 作用にかんする研究 : 特に,蛋白・コラーゲンおよびDNA合成能に及ぼすホルモン効果について

概要

論文の詳細を見る
正常性成熟期婦人の腹部正中線及び外陰部皮膚より線維芽細胞を培養し,sucrose density gradient analysisにより,両線維芽細胞がcytosolに8S dihydrotestosteroneリセプターを有することを確認した.ついで,intact monolayer assayにて,両線維芽細胞のdihydrotestosterone結合能を測定し,腹部皮膚由来線維芽細胞に関しては,dihydrotestosterone最大結合量21.6±1.1fmoles/mg protein,みかけの解離定数0.50±0,028nM,又,外陰部皮膚由来線維芽細胞に関しては,夫々,35.9±1.7fmoles/mg protein, 0.24±0.015nMであり,dihydrotestosterone結合能が外陰部皮膚由来線維芽細胞において有意に高いことを示した(p<0.01).更にこれら線維芽細胞の蛋白・コラーゲン及びDNA合成能に及ぼすdihydrotestosteroneの作用を,両線維芽細胞間において比較検討した.即ちconfluentに達した線維芽細胞を,10,100,1,000ng/mlのdihydrotestosterone添加培養液にて6日間培養を継続し,線維芽細胞の蛋白及びコラーゲン合成能に対するdihydrotestosteroneの作用を検討したところ,腹部皮膚及び外陰部皮膚由来線維芽細胞のいずれにおいても明瞭な蛋白合成能の亢進がみとめられ,かつ,ホルモン効果は外陰部皮膚由来線維芽細胞における方が僅かながらより顕著であった.コラーゲン合成能に関しては,外陰部皮膚由来線維芽細胞において明瞭なdihydrotestosteroneによる亢進作用がみとめられたのに比し,腹部皮膚由来線維芽細胞においては,約10%程度のコラーゲン合成能の亢進がみられたにすぎなかった.DNA合成能に関しては,両線維芽細胞のいずれにおいても全くdihydrotestosteroneの作用はみとめられなかった.以上の成績より,培養ヒト線維芽細胞に対するdihydrotestosteroneの蛋白・コラーゲン合成能亢進作用が,線維芽細胞のdihydrotestosterone結合能に相関し,従って,dihydrotestosteroneの作用が線維芽細胞のdihydrotestosteroneリセプターを介して発現していることが考えられる.
社団法人日本産科婦人科学会の論文
1980-10-01

培養ヒト皮膚線維芽細胞への dihydrotestosterone 作用にかんする研究 : 特に,蛋白・コラーゲンおよびDNA合成能に及ぼすホルモン効果について

スポンサーリンク

概要

著者

関連論文

スポンサーリンク