卵巣腫瘍の良悪性鑑別を目的とした腫瘍マーカー多変量解析システムComputer Aided Multivariate Pattern Analysis System (CAMPAS) OV-1の開発と臨床応用
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概要
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8項目の腫瘍マーカーCA125, IAP, TPA, CEA, LDH, CRP, amylase, alkaline phosphataseについて, 多変量解析システムComputer Aided Multivariate Pattern Analysis System (CAMPAS) OV-1を開発し, 臨床的に表層上皮性卵巣癌122例, 良性卵巣腫瘍215例に適応し, CA125ならびにCombined assayの成績と比較検討し, 以下の結果を得た. 1. 判別式作成時症例では, CAMPAS OV-1のsensitivityは84.5%とCombined assayの88.7%に比較し低値ではあつたが, specificityは97.5%とCombined assay 60.8%, CA125 81.0%に比較し有意に高値を示し, accuracyも91.3%とCombined assay 74.0%, CA125 80.0%に比較し有意に高値であつた (p<0.001). 臨床進行期別のsensitivityはstage IにおいてCAMPAS OV-1 63.3%, Combined assay 73.3%, CA125 50.0%とCAMPAS OV-1はCA125に比較し有意差は認めないものの高値を示した. 三法ともstage II以上の症例では, sensitivityは100%であつた. 組織型別のsensitivityでは, 粘液性腺癌においてもCAMPAS OV-1 85.7%, Combined assay 78.6%, CA125 64.3%とCAMPAS OV-1が有意差は認めないものの高値を示した. 良性卵巣腫瘍におけるspecificityは内膜症性嚢胞においてCAMPAS OV-1 94.4%, Combined assay 55.6%, CA125 66.7%と, CAMPAS OV-1が有意に高値を示した (p<0.05). 2. 判別式作成以後の新規症例では判別式作成時症例に比較し, CAMPAS OV-1のsensitivityは84.5%から88.2%に上昇したが, specificityは97.5%から83.8%に低下したためaccuracyは91.3%から85.0%に低下した. しかし, CAMPAS OV-1のaccuracyはCombined assay59.4%, CA125 75.9%に比較し有意に高値を示し (p<0.01), 判別式作成以後の新規症例でもその有用性が確認された. 以上より, CAMPAS OV-1は表層上皮性卵巣癌診断において臨床的に有用であることが確認された.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1993-03-01
著者
-
木村 英三
東京慈恵会医科大学産婦人科
-
小林 重光
東京慈恵会医科大学附属柏病院産婦人科
-
小林 重光
東京慈恵会医科大学附属青戸病院産婦人科
-
小林 重光
東京慈恵会医科大学
-
村江 正始
東京慈恵会医科大学産婦人科
-
木村 英三
慈恵医大第三病院産婦人科
-
木村 英三
東京慈恵会医科大学 解剖学第2
-
村江 正嫡
東京慈恵会医科大学産科婦人科学教室
-
木村 英三
東京慈恵会医科大学附属第三病院産婦人科
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