全身状態不良の進行卵巣癌に対する集学的治療法 : その有効性と限界について
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概要
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根治的治療対象になり難い全身状態不良の進行卵巣癌に対して, 現在用い得る治療手段をsequentialに行い, その有効性及び限界を検討した. 大量腹水を有する進行卵巣癌連続7症例(うち5例で癌性胸水貯留)を対象とした. 入院時, 全身状態不良で試験開腹を行うことが困難であったため, まずpriming理論にもとづいた免疫療法(OK432 0.2KEを2回以上皮下接種して全身感作後, OK432 10KEを胸・腹腔内投与)にて, 胸・腹水の管理を行つた. その後, "low-dose consecutive CP療法" (CPM 500mg/m^2, day 1; CDDP 10mg/m^2, day 1〜7)を4〜6コース(13〜20週)施行, 更に根治手術を行つた. 術後はreservoirより腹腔内化学療法, 及び腹腔内免疫療法を行い, reservoirによる腹腔洗浄細胞診を含めてfollow-upした. 免疫療法により胸水5例はすべて消失し, 腹水は消失3例, 減少4例であった. Neoadjuvant CP療法施行中全例PSは改善し, 腫瘍縮小率は30〜100% (1CR, 5PR, 1NC)であった. 根治手術は卵巣癌基本術式に加え, 症例によつては小・大腸合併切除のみならず, 摘脾, 横隔膜切除をも行つた. 腫瘍(serous 6例, endometrioid 1例)摘出率は100%4例, 90%以上3例(残存腫瘍最大径<2cm)であった. follow-up期間は10〜32カ月で, 全症例の平均生存期間は17.1カ月以上(10〜32カ月). 完全手術を受けた4例はNED(腹腔細胞診も陰性), PS=0で, 14〜32カ月(平均19.2カ月)生存中. ほかは, 再発1例(6.5カ月目: 肝), 及び持続1例(腹腔内)が現在腹腔内免疫化学療法を受け生存中. 残る1例は, 7カ月目に腹腔内再発した際に化療を拒否し, 15カ月目に腫瘍死した. 全身状態が極めて不良の進行卵巣癌患者でも, 免疫療法で胸・腹水を管理し, 更に抗癌剤も投与法を工夫すれば, PSを落とすことなく十分な抗腫瘍効果が得られ, 後の根治手術が可能になることを示した.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1992-12-01
著者
-
荷見 勝彦
癌研究会附属病院
-
清水 敬生
癌研究会附属病院
-
藤本 郁野
癌研究会附属病院婦人科
-
山内 一弘
癌研究会附属病院婦人科
-
増淵 一正
癌研究会附属病院婦人科
-
達木 泰裕
癌研究会附属病院婦人科
-
達木 泰裕
達木レディス・クリニック
-
清水 敬生
国際医療福祉大学附属三田病院 女性腫瘍センター
-
藤本 郁野
癌研究会附属病院
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