子宮体癌筋層浸潤欠如症例に関する研究

概要

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1974年より1991年の期間に経験された子宮体癌新鮮症例646例のうち, 621例において, 子宮全摘以上の手術が行われた. 術後の病理学的検索より, 92例において筋層浸潤を認めなかった. 本研究では, この92例につき, 再発率, 骨盤内リンパ節転移率などの臨床病理学的検討を行った. 以下に結果を示す. 1.92例のうち1例 (組織分化度はG1)にのみ, ダグラス窩に播種を認め, 不完全手術となった. 完全手術が可能であった91例のうち2例 (2.2%, 分化度はG1とG2)に再発を認め, 再発部位はいずれも腔断端であった. 2. 骨盤内リンパ節廓清を施行した70例のうち2例 (2.9%, 分化度はいずれもG1)に, 単数のリンパ節転移を認めており, 転移部位はいずれも外腸骨節であった. なお, この2例はいずれも再発を来さなかった 3. 92例のうち付属器転移を認めた症例は1例もなかった. また,腹水細胞診採取67例のうち陽性を示したのは9例 (13.4%)であり, 上述の腹膜播種の1例を除く8例には追加治療を施行していないが, 再発を認めた症例はなかった. 本研究では, 筋層浸潤を欠く子宮体癌においても, 少数ながら, 腹膜播種症例, 再発症例, 骨盤内リンパ節転移症例を認めることを示した. これらのことより, 子宮体癌においては, 筋層浸潤が浅く, また高分化型であっても, リンパ節廓清を施行するほうが望ましく, また再発にも十分な監視が必要であると思われる.
社団法人日本産科婦人科学会の論文
1995-06-01

子宮体癌筋層浸潤欠如症例に関する研究

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