子宮体癌新旧FIGO分類の比較 : 特にPositive Peritoneal Cytologyの意義

概要

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子宮体癌における新FIGO分類は, 旧分類と異なりsurgical pathological stagingにより規定されるため, より正確な予後との関連が期待されている. 進行期を決定する多くの因子のうち, 腹水細胞診陽性(positive peritoneal cytology: PPC)に関してその評価が分かれている現状より, 今回当科で治療し新分類を適用して子宮体癌352例を評価し, その意義を検討したので報告する. 1) PPCは83例(23.6%)でみられ, 新旧分類共に臨床期と共にPPC例が増加する傾向を示した. また, PPCにより旧分類I期から新分類IIIA期に変った症例は48例あり, 旧分類I期全体の16.4%を占めた. 2) 臨床期別累積5年生存率は, 旧分類ではI期88.8%, II期86.1%, III期52.9%, IV期0%であり, III期とIV期の間で差がみられた(p<0.05). 新分類では, I期97.5%, II期100%, III期69.9%, IV期25.9%と, I・II期, III期, IV期の3群の間にそれぞれ差が認められた(p<0.001, <0.05). 3) 新分類III期をIIIA期76例とIIIB・C期32例に分けて各々の5年生存率を求めると, 各々83.7%, 33.6%であり, IIIA期の予後は良好であった(p<0.01). 次に, "PPCのみのIIIA期" 59例と "他の因子によるIIIA期" 17例の5年生存率を比較すると, 各々90.3%, 49.2%と差がみられた(p<0.05). さらに, PPCのみのIIIA期を,「筋層浸潤<1/2 and 頚管浸潤陰性」群と「筋層浸潤>1/2 or/and 頚管浸潤陽性」群に分けて5年生存率を求めると, 各々97.2%, 75.1%と予後に差が認められた(p<0.05). 4) 新分類IIIA期をPPCのみのIIIA期と他の因子によるIIIA期に分けて, その再発率を比較すると, 各々15.3%, 64.7%で差がみられた(p<0.01). 以上より, 新分類は旧分類より正確に体癌の進行を反映していると思われる. しかし, PPCは単独では予後因子となる可能性は小さく, これを新分類IIIA期の規定因子とすることには問題があると思われた.
社団法人日本産科婦人科学会の論文
1994-12-01

子宮体癌新旧FIGO分類の比較 : 特にPositive Peritoneal Cytologyの意義

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