calcitoninは閉経後の腰椎骨密度の減少を調節する : fast loserに対する抑制因子としての可能性

概要

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calcitoninが閉経に伴う骨吸収の充進を調節することを明らかにするため, calcitonin値と骨密度の相関関係を検討した. 対象と方法は384例の健康婦人(premenopause : 106例, perimenopause : 88例, postmenopause : 190例)によるcross sectional studyと卵巣摘出42例によるlongitudinal studyである. cross sectional studyでは, calcitonin値と骨密度はpremenopauseでは相関せず(r=0.069, p=0.4898), perimenopauseで有意相関し(r=0.219, p=0.040), postmenopauseで有意傾向を示した(r=0.141, p=0.0554). longitudinal studyでは, 術前calcitonin値と術前骨密度からの減少率は術後6ヵ月で有意に相関した(r=0.333, p=0.0442). また, 卵巣摘出42例をcalcitonin値の80パーセンタイルで2群に分けたところ, 術前骨密度からの減少率は2群間で, 6ヵ月ではp=0.06の有意傾向, 1年ではp=0.04の有意差(by U-test)があった. 以上から, calcitoninは卵巣摘出直後やperimenopause などの高骨代謝回転の時期において生理的な骨吸収調節機能があると考えられ, 術後calcitonin値がいわゆるfast loserの予知に有用な可能性がある.
社団法人日本産科婦人科学会の論文
1994-10-01