妊娠・分娩が潜在性高プロラクチン血症に及ぼす影響

概要

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14例の潜在性高プロラクチン血症患者の妊娠・産褥におけるプロラクチン分泌動態を正常例・機能性 (microadenomaを認めない) 高プロラクチン血症例の妊娠・産褥における変化と比較・検討した。その結果, 潜在性高プロラクチン血症は妊娠初期から中期にかけては, 正常例に比して高値を示した。しかし, 妊娠後期では正常範囲に下降するのが観察された。産褥期では, 正常例に比して下降の遅延が認められた。これらの変化は機能性高プロラクチン血症例の妊娠・産褥期での変化と類似していた。更にその後5例について, 引き続き経過観察を行うと, 4例では妊娠・分娩を契機としてプロラクチン分泌が改善・正常化し, 自然妊娠に至った。このことから, 潜在性高プロラクチン血症は妊娠時のホルモンの変動により中枢が改善・正常化されるという一過性病変と考えられた。しかし, 1例においては悪化したことや, 妊娠・産褥期のプロラクチン分泌動態が機能性高プロラクチン血症例と酷似していることから, 顕性の高プロラクチン血症, ひいてはプロラクチン産生下垂体腫瘍と連続する病変が含まれていると考えられた。現在のところ潜在性高プロラクチン血症の完全な自然歴は不明であり, それらの意味からも症例の長期の追跡調査が必要と思われる。また, 潜在性高プロラクチン血症の産褥乳汁分泌は良好であることが判明したがその機序は明らかでない。
社団法人日本産科婦人科学会の論文
1991-12-01

妊娠・分娩が潜在性高プロラクチン血症に及ぼす影響

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