胚珠一胚培養によるラッキョウ(Allium chrnense)×ヤマラッキョウ(A. thunbergii)の種間雑種の作出
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概要
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栽培ラッキョウ(Allium chiuense)には種子稔性がなく,これまで卒雑による育種は行われていなかったが,ヤマラッキョウ(A. thunbergii)を花粉親として交配すると,'わずかながら種子を形成することが報告された(西谷1986,吉武1988).筆者らはその組合せで胚珠一胚培養を試みることにより雑種獲得率を向上させることができたので報告する. 材料はラッキョウ(ラクダ系福井在来)と,ヤマラッキョウNo.15(熊本県阿蘇産)を主に用いた.実験遂行のため,事前にラッキョウの受粉様式や胚の発育について調査した.ラッキョウの雌ずいは開花後約1週間で完全に成熟し,典型的な雄性先熟であり他家受粉の性質を備えていた(Table1).受精胚の発育は交配6日後に球状胚が観察され,10日後には卵〜シリンダー状胚,15日後にはすべてシリンダー状胚に成育した(Fig.1).胚培養をしない場合,種内交雑で交配化数の41.7%,種間交雑で0〜2.3%しか種子を得ることができなかったが(Table2),MS培地(3%ショ糖,O,8%寒天,pH5.8)に受精胚を置床し,25℃,2000 lux,16時間日長条件で培養することによって,ラッキョウ×ヤマラッキョウNo.15の場合10.2%に雑種獲得率が向上した.さらに,胚珠培養後の胚を摘出し,同様に培養することによって16.7%にまで高めることができた(Table3,Fig.2).
- 日本育種学会の論文
- 1990-12-01
著者
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