乾燥法によるメロン体細胞不定胚の超低温保存
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概要
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超低温保存は安定的かつ省力的な遺伝資源の保存法として多くの種で試みられているが,不定胚を用いた報告は非常に少ない.筆者らは,凍結防御剤を用いた予備凍締法によらず,乾燥処理を行ったメロン(Cucumis melo L.)の体細胞不定胚を液体窒素中で保存することを試み比較的高い生有率を得ることが出来た.材料は,完熟種子の胚軸由来カルスから誘導した不定胚を用いた.乾燥処理する前にアブシジン酸(10mg/l)を含むMS培地で前培養を行い,相対湿度50,60,65%でゆるやかに乾燥させた.水分平衡に達した不定胚の含水率は相対湿度60%で11,8%であった(Fig.2).乾燥した不定胚は直接液体窒素にいれ翌日40℃の温水中で急速に融解して再分化培地に置床した.再培養した不定胚の生存卒は,主に不定胚の大きさによって左右され,長さ2〜3mmの大きめのもので高い生存率が得られ,これらの生存率は相対湿度60%及び65%で乾燥させたもので45%〜65%となった(Table 1).なお,再生した植物体は二次胚によるものではなく,保存した不定胚そのものが発芽したものであった.この方法によればプログラムフリーザーなどの機器を必要とせず,安価な超低温保存が可能である.
- 日本育種学会の論文
- 1991-06-01
著者
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大澤 勝次
農業生物資源研究所
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大澤 勝次
農林水産省北海道農業試験場地域基盤研究部
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大澤 勝次
農林水産省農業生物資源研究所
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石川 雅也
農林水産省農業生物資源研究所
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石川 雅也
農林水産省農業工学研究所集落排水システム研究室
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下西 恵
鹿児島県バイオテクノロジー
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鈴木 誠一
宮城県農薬センター
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大澤 勝次
農林水産省北海道農業試験場
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