チャの耐凍性の品種間差異に関する研究 : VII.耐凍性の異る品種の皮層細胞におけるアミラーゼおよびフォスフォリラーゼの組織化学的観察
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概要
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耐凍性の異るチャの6品種、ヤブキタ、U-22、ベニホマレ、Y-3、キヤンおよびX-10を用い、耐凍性とでん粉の糖への転化との関係や枝の組織・細胞におけるアミラーゼとフォスフォソラーゼの分布を組織化学的に観察した。アミラーゼの組織化学的検出は、TREMBLAY(1963)の変法により、でん粉のうすいフィルムを組織切片にあて、過沃素酸SCHIFF試薬で染色し、フォスフォリラーゼ検出にはYINおよびSUN(1947)の方法で観察した。秋から初冬にかけての耐凍性増大時期における各品種の枝の糖含量の増加は、でん粉含量の減少と平行して進み、でん粉の糖化割合の大きい品種ほど耐凍性が増大した。でん粉の糖化と温度の関係は、葉のついた枝を-7℃に2週間おいたとき、最も多くでん粉が糖化し、0℃においたものがこれにつぎ、20℃や自然状態においたものが最も少かった。皮層細胞に沃度沃度カリを作用させると、11月上旬まではでん粉が検出できたが、11月中旬を過ぎると、もはや検出されなかった。アミーラゼやフォスフォリラーゼは、でん粉を加水分解して糖に転化させる酵素であるが、組織化学的に観察したところでは、晩秋から初冬にかけ、これら酵素の活性には品種間のちがいが認められなかった。しかし皮層細胞と他の組織の細胞を比較すると、皮層細胞では糖含量が最も多く、耐凍性もまた最も強いが、この皮層細胞に両酵素の最も高い活性がみられた。また皮層細胞において、アミラーゼやフォスフォリラーゼの細胞内分布をみると、空胞内には活性がなく、細胞膜に近い細胞の周辺部の細胞質に両酵素の活性が高いことが認められた。したがってこれらの細胞質の部分に糖が蓄積されるものと推定される。
- 日本育種学会の論文
- 1969-12-31
著者
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