チヤの耐凍性の品種間差異に関する研究 : III 葉緑体蛋白質含量が耐凍性に及ぼす影響
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概要
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さきに著名らは、チヤの各品種が耐凍性の増大とともに、葉の水溶性蛋白質含量が増加することを報告した。一般にいろいろの緑色植物の葉で、水溶性蛋白質の多くが葉緑体中に含まれていることが明かにされ、著名らのチヤの葉の実験でも同じ知見を得ている。一方この蛋白質は光合成能に関与Lていることが多くの生化学者らによって実証されている。そこで著者らは、この葉緑体蛋白質含最と耐凍性との関係、ならびにこの蛋白質を含有する葉緑体の凍結による被害程度と耐凍性との関係、さらに蛋白質の凍結に対する糖の保護作用について実験を行った。供試品種は、ヤブキタ(耐凍性強、静岡種)、ベニホマレ(耐凍性中位、インド種)、X-10(耐凍性弱、インド種)、これらは農場に栽培されている7〜8年生の株である。NおよびTは、耐凍性が甚だ弱く、1962年ビルマで採取した種子を温室で栽培したものである。耐凍性の強い品種は、葉緑体水溶性蛋白質含量の全水溶性蛋白質含量に対する割合が高かった。その順序は、ヤブキタ、ベニホマレ、X-10、NおよびTの順で、耐凍性の大きさの順序と一致している。葉緑体の凍結による被害の程度の品種間差異は、耐凍性の品種間差異と常に一致しているとは限らない。また抽出した葉緑体を-20℃においたとき生じる被害より、葉を-20℃に放置した後抽出した葉緑体の方が、凍結による被害が大きかった。葉を切りとり、減圧して、葉柄から、glucose、sucrose、fructose、xyloseおよびraffinoseを吸収させたとき、葉の全糖含量は、対照区に比べて増加するが、耐凍性は増大しなかった。しかし抽出した葉緑体を糖液につけ、-20℃においたところ、葉緑体は凍結によって殆ど害がなかった。糖類中では、sucroseが凍結による葉緑体の被害を最も保護した。
- 日本育種学会の論文
- 1967-03-25
著者
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