茶樹の耐凍性の品種間差異に関する研究 : IV. 葉緑体中の蛋白質と結合している糖含量が耐凍性に及ぼす影響
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概要
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筆者らは、先の実験により耐凍性の増大と共に葉緑体の形態及び構成成分が変化することを報告した。葉の主蛋白質である葉緑体水溶性蛋白質が、耐凍性の異る5品種:ヤブキタ、U-22、Y-3、ベニホマレ、Kyannから抽出された。その結果葉緑体水溶性蛋白質が次のような特性を持ち耐凍性に関与することがわかった。(1)この蛋白質含量は耐凍性とともに増加する。この蛋白質は-20℃に3時間放置しても変性しなかった。しかし、葉緑体水溶性蛋白質の凍結に対する低抗性の強い品種は耐凍性も強いことが観察される。(2)この蛋白質と結合している糖は耐凍性増大時期に増加しはじめる。耐凍性の弱い品種は、この糖含量が少ない。(3)葉緑体の凍結抵抗性は耐凍性とともに増加する。葉緑体は凍結(-20℃)によって被害をうけやすい。葉縁体の凍結低抗性の品種間差異は全くみられない。(4)葉緑体を構成するもう一つの蛋白質として、葉緑体不溶性蛋白質があり、これは凍結-低温-に弱いと言われている。筆者らの実験によれば、この蛋白質に結合する糖含量は少なく、一年をとおして一定しており、耐凍性の増減とは無関係であった。又、この糖含量について品種間差異は認められない。(5)耐凍性増大時期において、糖類中大きい部分-75〜70%-をしめるのはsucroseであった。stachyose及びraffinoseも少量ではあるが含まれており、これらの糖は耐凍性増大と平行して増加した。これらの糖含量が多い品種ほど耐凍性が強い。一方glucoseとfructose含量は耐凍性の増大に伴って減少した。
- 日本育種学会の論文
- 1967-12-25
著者
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