チヤの耐凍性の品種間差異に関する研究 : V.耐凍性増大時期の枝におけるブドウ糖含量の組織化学的観察

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耐凍性の異るチヤの3品種、ヤブキタ、ベニホマレおよびキャンを用い、枝の各組織について、耐凍性と糖含量との関係を組織化学的な方法によって観察した。生体中の蔗糖を組織化学的に同定する方法は、現在までに確立されていないので、ブドウ糖について同定を行った。固定はBa(OH)_2で飽和された無水メタノールで行い、染色は硝酸銀とホルモールで行った。この過程にはすべて水を用いなかった。各々の組織の耐凍性の大きさの順位は、次の通りであった。表皮>外皮層>内皮層>前部および木部>髄。組織化学的な観察によると、ブドウ糖含量は、木部および飾部の部分と、内皮層の部分で多かった。hardeningの日数が多くなるに従って、これらの組織のブドウ糖含量は徐々に減少する。10日目には、組織中にブドウ糖を殆ど全く観察できなかった。細胞内のブドウ糖の分布は、組織によってちがい、内皮層の細胞では、ブドウ糖が細胞の周縁部にみられ、木部と篩部の細胞では、中心部にみられた。化学分析の結果によれば、各々の組織の糖含量の順位と耐凍性の順位は一致していた。内皮層、篩部および木部では、hardeningによって、ブドウ糖が減少し、篩糖が増加する。一方、表皮、外皮層および髄の部分では、ブドウ糖の蔗糖に対する割合が、hardening処理を行っても、殆ど常に一定していた。
日本育種学会の論文
1968-08-30

チヤの耐凍性の品種間差異に関する研究 : V.耐凍性増大時期の枝におけるブドウ糖含量の組織化学的観察

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