チヤの耐凍性の品種間差異に関する研究 : II. 人工低温処理が耐凍性に及ぼす影響
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概要
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チヤの葉を人工的に低温および高温処理したとき,耐凍性と葉の細胞の浸透圧,水分その他の化学成分が受ける影響を調べた。供試材料は日本種として,ヤブキタ,Y-3,U-22の3品種,インド雑種として,X-10,ベニホマレの2品種を用いた。このうちU-22は3倍体(2n=45)で,他はいずれも2倍体(2n=30)である。人工低温処理は0℃で7日間,高温処理は20℃で7日間材料を保存した。10月から12月中旬までに低温処理を行うと,すべての品種で耐凍性が増大したが,それ以後は増さなかった。自然状態で耐凍性の大きい1月から3月にかけ,高温処理を行なうと,すべての品種で耐凍性が減少した。耐凍性が増大する10月から12月にかけ低温処連を行うと,葉の細胞の浸透濃度は増加し,葉の水分含量はわずかながら減少した。1月および2月の葉の浸透濃度高く,水分が少ない時期には・,高温処理により,浸透濃度は減り,水分は増した。低温処理により耐凍津が増大するとき,すべての品種の葉の全糖含量が増加したが,還元糖の含量と低温処理の効果は明かでなかった。1〜2月高温処理で,全糖と還元糖の含量はわずかに減少した。葉のタンニン含量は低温処理で,減少したが,高温処理の影響は品種によって一様でなかった。全窒素含量は低温処理で影響されなかったが,水溶性窒素含量は減少する傾向があつた。水溶性蛋白質はすべての品種で,低温処理により増加した。しかし高温処理の影響は全窒素,水溶性窒素および水溶性蛋白質ともに明かでなかった。以上の実験から葉の水分,浸透濃度,全糖,水溶性蛋白質等は耐凍性と密接な関係があることが推定できる。
- 日本育種学会の論文
- 1966-09-25
著者
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