栽培小麦種と近縁野生植物の種々の空気流量,光強度水準下における葉光合成と葉蒸散
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概要
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野生型と栽培型、冬型と春型、2、4、6倍性のものを含む小麦属、Aegilops属植物20系統について、葉面当り光合成(P_A)と関連葉形質を前報にひきつづき観察した。高いP_Aは高い葉面蒸散率、高い葉面当り暗呼吸率、高い葉面窒素量、高い葉面積重と随伴してみられる傾向がある。P_Aと葉蒸散との随伴はガス交換抵抗が光合成率に影響していることを暗示し、P_Aと葉面積重、葉面窒素量、葉面呼吸率とが互に正相関していることは、葉面当りの働き手の員数もP_A決定要因の1つとして重要であることを示している。さらに、野生種が栽培種よりも一般にP_Aも上述の関連葉形質もその値が高いことが確かめられた。野生種のこのような性質は、その生育立地よりみて、乾生型の特性とみられる。乾生植物が中生植物よりむしろ高いP_A、高い葉面蒸散を示す傾向があることはMAXIMOVによって指摘されている。温度反応に関連して、比較的温かい時期には春型系統の方がP_Aが高く、寒冷な時期には冬型系統の方がP_Aが高い傾向がみられた。光一同化曲線が観察されたが、8万ルックスまで光強度を高めても、どの系統の葉も光飽和を示さなかった。また、本研究でのP_A測定法においては、最高P_Aをあたえる最適空気流量は系統により若干異なり、その原因は葉サイズの差によるものと推定された。小葉を持つ2倍性種は比較的低流量で、大型の葉を持つ、4、6倍性種は比較的高流量で最高P_Aを示した。
- 日本育種学会の論文
- 1970-10-31
著者
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