葉光合成ならびに関連葉形質についての栽培小麦種と近縁野生植物の進化傾向
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概要
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野生型と栽培型、冬型と春型、2、4、6倍性のものを含む小麦属、Aegilops属植物を、温室ならびにガラス室で育て、着生葉について葉光合成能力を測定した。全20系統中、葉面当り光合成率(P_A)が最高であったのは野生2倍種T. aegilopoidesの1系統で、最低であったのは栽培6倍パン小麦T. vulgareの1系統であった。全体として野生植物は栽培小麦に比べ高いP_Aを示した。P_Aと葉面当り窒素量とは正の相関が、後者と葉面積とは負の相関がある。栽培小麦は関連野生植物よりも葉面当り窒素含量が低くP_Aは低いが、葉面当り窒素含量が低いことが葉面積の増大と結びついており、水分供給が良い条件下では太陽光線をより良く利用することになるであろう。葉窒素当りの光合成率(P_N)はむしろ葉面当り窒素含量の低い葉の方が高かった。冬型は春型よりもP_Aが高い傾向を示し、特にガラス室(低温)で育てた場合差がより明らかであった。2倍性種は平均してみると倍数性種より高いP_Aを示した。しかし4、6倍性の場合でも野生種や野生種から人工合成された植物はP_Aが高く、倍数レベルとP_Aに直接の関係があるかどうかは疑問である。
- 日本育種学会の論文
- 1970-06-30
著者
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