低温処理に対するイネ品種の光合成反応 : 特に葉におけ可溶性糖とでんぷんの蓄積に関連して
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概要
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韓国の日印交配系統3品種(維新,密陽21号,密陽23号),それらの親として使われたインド型2品種(台中在来1号,IR8), 日本型1品種(ユウカラ)の幼苗を昼23゜,夜18℃の温度条件下で28〜33日間育てた後,高温処理(昼30゜/夜25℃,3日)および低温処理(昼17゜/夜12℃,3日および7日)し,最上展開葉より数えて第2位の着生展開葉の光合成速度を28±2℃下で測定し,その葉の葉面積および水分合最,乾物重,葉緑素含量,窒素含量,可溶沐糖含量,でんぶん含量を測定した。その結果低温処理により炭水化物が葉中に蓄積し,この蓄積はまず可溶性糖で,ついででんぷんの形でおこり,またその蓄積の程度に品種間差異が認められた。そして,高温3日区と比べ,低温3日で大幅に光合成速度(葉面積当り)が低下した品種ほど,低湿3日で大幅に可溶性糖+でんぷんの含有率(対乾物重)が増加した(r=-0.847,α<0.05)。また,高温3日区と比べて低温7日で大幅に光合成速度が低下した品種ほど,低温7日で大幅にでんぶん含有量が増加した(r=-0.855,α<0.05)。一方,低温処理により葉緑素含量,窒素含量(いずれも葉面積当り)が低下し,その低下の度合に品種間差が認められた。そして,高温3区に比べ,低温7日で大幅に葉緑素食含量,窒素含量が低下した品種ほど,低温7日で大幅に光合成速度が低下した(それぞれr=+0.961,α<0.01, r=+0,822,α<0.05)。水分含量も低湿処理によって減少し,低温7日区における光合成速度と水分含量との間には正相関(r=+0,953,α<0.01)が認められた。供試品種のうち,低温処理による可溶性糖,でんぶんの蓄積,葉緑素含量,窒素含量,水分含量の低下が顕著でなく,低温区でも比較的高い光合成速度を保った品種は日本型のユウカラであり,これらの成分含量の変化と光合成速度の低下の最も顕著であったのはインド型のIR8であった。日印交配系統内でも,品種間差が認められた。 以上の結果は,葉中における可溶性糖,でんぷんの蓄積が,葉緑素含量,窒素含量の低下と共に,稲品種の光合成の低温感受性と関係があることを示唆する。
- 日本育種学会の論文
- 1983-12-01
著者
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