ガドベン酸ジメグルミン製剤(E7155)の一般毒性試験 (第3報) : ラットにおける静脈内投与による4週間反復投与毒性試験および4週間回復性試験
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概要
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ガドベン酸ジメグルミン製剤(E7155)を0.3,1.0および3.0mmol/kg/日の用量でSDラットに1日1回,4週間静脈内投与し,その安全性を評価した。また,3.0mmol/kg/日については投与終了後4週間休薬し,回復性も検討した。 その結果,0.3mmol/kg/日以上で腎皮質の尿細管上皮の空胞化および投与部位における局所損傷の発生頻度の増加が認められた。 1.0および3.0mmol/kg/日の雌雄で,投与部位である尾の痂皮/潰瘍,腺胃部粘膜の蒼白/肥厚,膀胱上皮の空胞化,上皮過形成を伴った腺胃部粘膜の石灰化が認められた。1.0mmol/kg/日の雄と3.0mmol/kg/日の雌雄で,摂水量の増加,尿中カリウム排泄量の増加,腎臓重量の増加および腎臓の肥大が認められた。3.0mmol/kg/日の雌雄で,炎症性細胞浸潤を伴う肝細胞の壊死,唾液腺における介在部上皮の脱顆粒,また3.0mmol/kg/日の雄ではさらに,血中ナトリウムの増加,尿中ナトリウム,クロール排泄量の減少,精巣および精巣上体での退行性変化が認められた。 4週間の休薬による回復性試験では,3.0mmol/kg/日の雄における尿中カリウム排泄量の増加,腎臓重量の増加,精巣および精巣上体の変化が認められ,これらの所見の回復性は認められなかったが,その他の変化は回復あるいは回復傾向が認められた。 E7155投与群でみられた腎尿細管上皮細胞の空胞化は高張性の投与溶液の静脈内投与に起因する生体の適応性の変化であり,また投与部位における局所損傷は,高張性の投与溶液の反復静脈内投与による物理的刺激の変化であり,いずれも毒性所見ではないと考えられた。 以上から,本試験における無毒性量は0.3mmol/kg/日と判断された。
- 日本トキシコロジー学会の論文
- 1999-11-15
著者
-
佐神 文郎
エーザイ株式会社 プロダクトクリエーション サイトサービス部 企画推進部
-
TIRONE Piero
Research Laboratories of Bracco S.p.A.
-
MORISETTI Alberto
Research Laboratories of Bracco S.p.A.
-
BUSSI Simona
Research Laboratories of Bracco S.p.A.
-
Bussi Simona
Research Laboratories Of Bracco S. P. A.
-
Tirone Piero
Milano Research Centre
-
MASTERS Robert
Huntingdon Life Sciences Ltd.
-
青木 豊彦
エーザイ株式会社開発安全性研究部
-
佐神 文郎
エーザイ株式会杜筑波研究所
-
佐神 文郎
エーザイ株式会社開発安全性研究部
-
青木 豊彦
エーザイ株式会社安全性研究部川島
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