土壌水分と窒素栄養がトウモロコシの生育におよぼす影響

概要

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ガラス室内に配置した2, 000分の1ワグネルポットにトウモロコシを栽培し土壌水分状態を多, 中, 少量区とし, その各区に窒素肥料倍量区, 基準区, 半量区を設け, 生育量を比較して次の結果を得た.1)土壌水分の多い区は少い区に比し, 節間の伸長量が優れ, 草丈が高くなり, 生体重, 乾物重が増大したが, 節根数に影響をおよぼさなかった.2)地上部重は窒素肥料施用量の影響を強く受け, 土壌水分多量区では窒素半量区で劣り, 土壌水分少量区では窒素倍量区で劣った.また, 水分多量区の窒素半量区の方が水分少量区の窒素倍量区より優れていた.これは土壌溶液中の窒素濃度の適切なことが肥効を期待するのに大切なものと考えられた.3)分化した節根数や伸長発達した吸収根数は本実験の程度では土壌水分の影響を受けなかったが, 水分多量区では窒素倍量区が優れ, 地上部からの代謝産物の供給が良好になるためであろうと考えられた.4)厩肥を多量に連用した土壌で, 充分な化学肥料を施用した場合は, 有機物の少い土壌に比し, トウモロコシの生育が優れるが, この原因は主として土壌に水分が豊富に保たれるようになったことによる, と考えられた.
日本作物学会の論文
1984-05-30