線溶機能亢進剤による標識モノクローナル抗体の腫瘍集積増強効果

概要

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モノクローナル抗体を放射性核種で標識した免疫核医学診断は,すでに一部臨床応用もなされているが,かならずしも十分な腫瘍特異的集積効果を得ていない.そこで腫瘍内の微小循環動態の改善を図り,抗体(抗CEA抗体;1B2)の腫瘍到達性を高めるために線溶機能亢進剤であるウロキナーゼと低分子デキストランを併用し担癌ヌードマウスを用いた検討を行った.その結果,抗体投与72時間後の抗体の腫瘍内濃度(cpm/g tumor)と腫瘍集積率(%of injected dose/g tumor)はウロキナーゼと低分子デキストラン処理(マウス腹腔内投与)により有意に増加し(腫瘍内濃度で非処理群より48.3%の増加),しかも薬剤の投与量および投与回数の増加に伴い上昇傾向を認めた.しかし,腫瘍以外の諸臓器への集積に対する薬剤の影響は全くなかった.したがって,腫瘍/血液比,腫瘍/肝臓比の増加を認め,このことは腫瘍の相対的描出能の向上に寄与し,良好な腫瘍画像を可能にするものと考えられた.
一般社団法人日本消化器外科学会の論文
1991-07-01