肝阻血再灌流障害に対する内因性及び外因性ラジカルスカベンジャーの効果
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概要
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肝臓外科,肝移植後の際,問題となる肝阻血再潅流障害に活性酸素が関与していることが明らかになり,障害防御に各種radical seavengerの外的投与が試みられている。しかし,元来肝臓にはradical scavengerが抱負に存在する。そこで,内なる防御として内因性radical scavengerの誘導を試みた。また外からの防御として,新しいradical scavengerであるADFの外的投与を行い,内因性,外因性また肝実質細胞,非実質細胞の両面から阻血再潅流障害の軽減を試みた。実験には8週齢雄性Wistar系ラットを用いた。実験I(SODの誘導):β1-3glucan投与後経日的に肝臓SOD活性を測定した。実験II(阻血再潅流実験):60分阻血再潅流モデルを用い以下の群で実験を行った。A群:ADF100μgを阻血前・後に経静脈投与。B群:β1-3glucan 1mg投与,C群:β1-3glucan 1mg隔日4回投与。D群:β1-3glucan 1mgとADF併用群。E群:対照群。検討項目:血流再開後60分時の(a)肝組織血流量,(b)肝組織MDA量。(c)7日生存率。実験III(活性酸素産生能への影響):NBT潅流法を用い,阻血再潅流,β1-3glucan投与,ADF投与の影響を非阻血肝と比較した。実験I:β1-3glucan投与により肝組織SOD活性が上昇することを確認した。肝実質細胞,非実質細胞の何れにおいてもSODの上昇が認められた。実験II:A,B, C, D各群でE群に比較し, (a)血流再開後60分時の肝組織血流量を高く保持し, (b)肝組織MDA量を低く抑え,(c)7日生存率が改善した。実験III:阻血再潅流により活性酸素産生能の亢進を認めたが,β1-3glucan投与,ADF投与により類洞に発生した活性酸素を消去した。またβ1-3glucan投与は活性酸素変生能に影響を及ぼさなかった。内因性のradical scavengerを誘導するという新しい方法,また新しいradical scavenger ADFの外的投与により阻血再潅流障害を軽減する事が可能であった。
- 千葉大学の論文
- 1998-08-01
著者
-
剣持 敬
千葉大学医学部
-
松井 芳文
千葉大学医学部
-
所 義治
千葉大学第2外科
-
磯野 可一
千葉大学医学部第2外科
-
所義 治
千葉大学第2外科
-
浅野 武秀
千葉大学医学部第2外科
-
中郡 聡夫
千葉大学医学部第2外科
-
磯野 可一
千葉大学大学院先端応用外科
-
貝沼 修
千葉大学医学部第2外科
-
所 義治
千葉大学医学部第2外科
-
神宮 和彦
千葉大学医学部第2外科
-
中郡 聡夫
千葉大学医学部
-
磯野 可一
千葉大学医学部
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